全国市民オンブズマン連絡会議 談合問題分科会座長の大川隆司弁護士が、
「4.28尼崎事件上告審判決後のゴミ焼却炉談合住民訴訟の現状」と、
ごみ焼却炉談合住民訴訟の現状一覧をまとめました。(09/5/7一部訂正)
http://www.ombudsman.jp/dangou/090430.pdf
http://www.ombudsman.jp/dangou/gomi090428.pdf
・全国市民オンブズマン連絡会議 談合問題分科会
http://www.ombudsman.jp/dangou/
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4.28尼崎事件上告審判決後のゴミ焼却炉談合住民訴訟の現状
09. 4. 30 大川 隆司
1.これまでに確保した賠償金の額
ゴミ焼却炉談合をめぐる住民訴訟は、
09.4. 3 東京都事件につき和解成立(除タクマ)
4.10 熱海市事件につき上告棄却決定(住民敗訴)
4.23 神戸市、福岡市、横浜市、南河内施設組合各事件につき上告棄却決定(住民勝訴)があり、事件の大半が確定した。(→
別掲 ごみ焼却炉談合住民訴訟の現状一覧)
勝訴が確定(和解を含む)した住民訴訟によって地方自治体のために確保された賠償金は、元本分だけで171億円余り、損害金を含めると240億円に達する。
2.4. 28 最高裁判決(尼崎事件)勝訴の意義
(1)原審で住民敗訴の三事件(上尾市、熱海市、尼崎市)は、尼崎市逆転勝訴(ただし原審へ差戻し)、熱海市敗訴、上尾市未決着だが、それぞれの原判決は、熱海市事件が証拠を具体的に検討した上で「個別談合を認定する証拠がない」として請求を棄却したのに対し、
尼崎市事件は、「公取の審決の確定まで首長が損害賠償請求をしないことに合理性がある」(「財産管理を不当に怠る」という要件を充たさない)という、「一般論」に基づいて請求を棄却した。
尼崎市事件に関する09.4.28判決は、このような一般論によりかかって住民訴訟の窓口を狭くすることを許さない、とする最高裁の態度を明らかにした。
(それとともに民法709条に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、審決確定を待たず進行しうることを判示)。
(2)ゴミ焼却炉談合に関する独禁法審決は、公取の調査開始(98年9月)から10年以上経過した今に至っても、まだ確定に至っていない(08.9.26東京高裁判決に対し全業者が上告中)。
このような実情のもとで、「まだ住民の出る幕ではない」という理屈で住民訴訟を排除する原判決を、最高裁が破棄したことは、審判手続上の証拠を適宜援用しながら民法709条に基づいて談合業者の責任を追求する、という住民訴訟の必要性、有効性が正面から認められたことを意味する。
(3)一方熱海市事件敗訴の教訓は、個別談合の成立に関する公取の審査資料が不十分な場合においては、それを具体的に立証する、ということが住民訴訟における困難な課題となることを意味している(上尾市事件も同様の問題を抱えていると言える)。
3.住民側弁護士費用問題も解決へ
(1)住民の勝訴が確定し、賠償金が支払われた後においても、自治体が支払うべき「相当と認められる住民側弁護士報酬(地方自治法242条の2、第12項)の獲得が、これから解決すべき問題として残っている。
この点をめぐる紛争も、
①「自治体が受けた利益を考慮して弁護士報酬を算定すべきである」として、算定不能説を排した4月23日最高裁判決(宇治市公共工事談合事件)、
②自治体が24億円の利益を受けながら住民側弁護士の費用を190万円しか支払わないのは不当であって、5000万円を支払うべきであるとした4月22日大阪高裁判決(京都市ゴミ焼却炉談合事件)
を契機として、合理的な解決の方向へ向かうと思われる。
(2)ちなみに、①の判決は、原判決を破棄するとともに、第1審判決(判例時報2000号23頁)を支持(控訴棄却)する自判をしたが、この第1審京都地裁判決は、自治体の受益額を「経済的利益」と把握した上で日弁連旧報酬基準の最低額(標準額の30%減)を「相当と認められる」額であるとしている。
これに対し②の判決は、(①の基準で計算すると9700万円になるべきところ、更にその半分に相当する)5000万円を「相当と認められる額」としている点において、①とはギャップがある(しかも、自治体の受益額は、受けた賠償金から国に対し返還すべき補助金を控除して算定)。
以上
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