自民党名古屋市議団に対して支給された平成14年度分の政務調査費のうち、
「共通経費」の一部約1200万円が不適正に使われたとして、
名古屋市民オンブズマンのメンバー5名が返還を求める住民監査請求を
行った件で、名古屋市監査委員は08/3/28づけで6,923,885円の
返還勧告を出しました。
名古屋市の政務調査費をめぐる初の返還勧告です。
http://www.city.nagoya.jp/_res/usr/c/054/170/seimuc3.pdf
返還勧告の内訳は、使途不明金4,447,780円、食糧費等2,434,105円、
執行部名刺代42,000円です。
飲食代金のうち、多くを占める本会議昼食代
および常任委員会昼食代などほとんどは返還を認めましたが、
議員総会昼食代542,300円と広報費(自由新報)
は返還を認めませんでした。
その結果、当方の請求額12,038,898円中
6,923,885円の返還になりました。
あの監査委員が返還勧告を出すことがある、ということに驚きです。
返還が認められなかった部分については、住民訴訟を検討します。
以下、監査決定を受けて、マスコミに発表した新海弁護士のコメントです。
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監査決定を受けて
2008年3月28日
名古屋市民オンブズマン(担当:新海聡)
滅多に返還の勧告を出さない監査委員が、大阪市、広島県など、各地の住民監査請求に対して返還の勧告を出している。このことは何よりも、政務調査費の使われ方がそれだけ杜撰であることを示すものであるが、本件もその流れの一つに位置づけられると考える。ただ、少なくとも名古屋市民オンブズマンが90年に発足して以来、初めての勧告であることを考えると、本件の意味は重い。また、返還勧告の対象となった飲食費などの支出については、自民党会派だけが行っていたものとみるよりも、ほとんどの会派が同様の支出をしていたとみることが自然である。
ただ、勧告がなされる、ということ自体を除けば、監査委員の判断は極めて甘いと言わざるを得ない。まず、政務調査費の使途について「調査研究に直接用いられる費用に限られるものではなく、調査研究のために有益な費用も含まれる」とする下級審判決の判断を用いて、自由市民の発行経費420万円をはじめとする広報費の支出を適法とした点は是認できない。「調査研究のために有益な費用も含まれる」とする基準は論者によっては極めて広範な支出の適法性を許容する(風が吹けば桶屋が儲かる、式)からであり、本件についてはまさしく政治活動を許容するだけの論理として用いられているからである。
また、いまや食糧費の支出は原則違法とすべきであるが、議員総会の昼食代を適法としたことや、一人当たりの単価を適否の判断基準にしたところなども問題である。これらの点に不満があることから、住民訴訟の提訴を検討したい。
なお、政務調査費の使途の見直しの議論が行われているが、果たして見直しの内容が本監査決定の基準に適合するものかどうか自体、疑われるところである。いずれにしても、使途について監査決定に「すら」勧告対象となるような支出を繰り返してきたことの大きな原因には、支出内容を不透明にしてきたため、会派に市民の常識を知る機会がなかったことが挙げられる。そうである以上、今後の政務調査費の透明化と見直しの議論に市民の見解が流入するように努力すべきである。
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・名古屋市民オンブズマン 政務調査費特設ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/seimutyousahi/index.htm
全国市民オンブズマン連絡会議 政務調査費特設ページ
http://www.ombudsman.jp/seimu.html
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毎日新聞 2008年3月29日 2時21分
住民監査請求:自民党市議団の政調費一部返還勧告 名古屋
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080329k0000m010176000c.html
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