仙台市議らの政務調査費を用いた視察の実態は観光旅行だとして、
仙台市民オンブズマンが約2750万円の返還を求めた住民訴訟で、
仙台地裁は07/4/27づけで、39件の視察のうち28件は「調査の実態がなく
違法」と認定、約770万円の返還を命じました。
http://www.ombudsman.jp/data/070427.pdf
今回の判決の中で、特に事実認定に関して注目すべき記載がありました
(判決62ページ)。各地の裁判で使えるので、引用致します。
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ところで、不当利得返還請求訴訟においては、法律上の原因の不存在が
不当利得返還請求権の発生要件とされているのであるから、一般的には、
その返還を求める者において、受益者が「法律上の原因なく」当該
利益を得たとの事実を主張立証すべきである。
もっとも、不当利得の返還を求める者が「法律上の原因なく」の事実の
主張立証責任を負うといっても、およそ考えられる一切の法律上の原因の
不存在を主張立証しなければならないものではなく、具体的事実及び
証拠との距離を考慮しつつ、当該事案において通常考えられる程度に
利得の保持を正当化する原因が存在しないことを主張立証した場合には、
相手方においてこれを正当化する具体的事情につき反証する必要を生ずる
というべきである。
これを本件についてみると、まず、原告は被告に対し、被告が会派である
各補助参加人へ不当利得の返還を請求するよう求めている以上、本件各
支出が市政に関する調査研究に資するため必要な経費に充てられたものとは
いえないという事実は、原告において主張立証すべきものである。しかし、
その使途についての証拠は、各補助参加人が保存すべきものとされている
ことに照らすと、原告としては、本件各支出につきその具体的使途を
特定して主張立証しそれが市政に関する調査研究に資するため必要な経費に
充てられなかったことを明らかにするまでの必要はなく、本件各支出が
市政に関する調査研究に資するため必要な経費に充てられたものとは
いえないことを推認させる一般的、外形的な事実を主張立証した場合には、
被告及び各補助参加人において、その推認を妨げるべく、市政に関する
調査研究に資するため必要な経費に充てられたものと認めるに足りる
具体的な使途を明らかにする必要があるというべきである。
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仙台市民オンブズマン
http://homepage3.nifty.com/s-ombuds/
全国市民オンブズマン 政務調査費特設ページ
http://www.ombudsman.jp/seimu.html
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2007年04月28日 河北新報
先送り姿勢に改善要求 仙台市議会政調費地裁判決
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/04/20070428t13045.htm
2007年04月27日 河北新報
仙台市議会政調費訴訟 原告「使途すべて明らかに」
http://www.kahoku.co.jp/news/2007/04/20070428t13031.htm
2007年04月27日 河北新報
「政調費支出は不適正」 仙台市長に返還請求命令
http://www.kahoku.co.jp/news/2007/04/20070427t11056.htm
2007年04月27日20時03分 朝日新聞
仙台市議の視察、28件違法 地裁が770万円返還命令
http://www.asahi.com/national/update/0427/TKY200704270332.html
2007年4月27日19時55分 読売新聞
仙台市議会政務調査費訴訟、市長に770万円返還命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070427it12.htm
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