イラクでまた日本人が拘束されたらしい。
真っ先に思ったのは、P.W.シンガー著の
「戦争請負会社」である。今年になってから夢中になって読んだ。
たとえば、アメリカの副大統領のディック・チェイニーの前職はハリバートン社という兵站(軍隊に食料その他物資を運搬すること)専門の会社であることを知っているだろうか。イラクのファルージャで四肢切断されてビデオに撮影された「警備会社」社員4人は、現地で何をしていたのだろうか。
民営化の時代といっても、まさか戦争までもうすでにこんなに民営化されているなんてまったく知らなかった。逆に、PMF(Privatized Military Firm 民営軍事請負企業)の理論的可能性について、さまざまな空想を働かせたものだ。
上記の書は、「はじめに」で3種類の異なる読者に語りかけることを意識して書いたとある。「学者、政策の世界にいる人、そして一般読者である。」日本政府関係者が、PMFについてまったくの無知であったならば、あまりにも危機管理がなっていないといわざるをえない。実際、日本政府がPMFについてこれまで真剣に検討した形跡を私は知らない。他国ではPMFが隆盛を極めているし、PMF規制も進んでいるのに。
軍事の民営化について、著者は以下のように書いている。
アーサー・S・ミラーがかつて書いたように、「民主主義政府とは結果責任を持つ、つまり、説明責任を持つ政府である。そして請負に出すことの本質的問題は、結果責任と説明責任がともにひどく小さくなることだ」。
(略)
結局のところ、PMFは行政府を極めて有利にする可能性がある。行政府が合理的かつ第三者の邪魔の入らぬ外交政策を実施することを可能にするからだ。
今は、拘束された人の無事を願うのみだ。その後、PMFについて真剣な議論が必要だろう。