内田@名古屋市民オンブズマン です。
自民党名古屋市議団に支給された政務調査費の「共通経費」分について
目的外使用の疑いがあるとして、名古屋市民オンブズマンが住民訴訟を
起こしていた件で、元市議団長の西村建二氏が06/7/13に証言に立ち、
「政務調査費の一部をプールし、選挙前に各議員に分配していた」と発言しました。
市議自ら具体的な「目的外使用」に言及するのは全国初です。
西村氏は、議員1人当たり月55万円、会派人数分合計した金額をまとめて会派に
支給される政務調査費のうち、月50万円分を各議員に配るシステムだったと
証言しました。
その際、各議員は月50万円以上の領収書を市議団に提出するようにいわれており、
領収書と配分金額との差額が発生するといいます。その差額を「預かり金」と
呼んでいたと発言しました。
<例 議員が53万円の領収書を市議団に提出した場合>
月55万政務調査費→月50万各議員へ
→月3万 「預かり金」共通経費
→月2万 共通政務調査費
「預かり金」の他に、市議団として活動する為のコピー機代、コピー代などは
「共通政務調査費」として使用していたとのことです。
各議員から余分に提出された領収書で構成される「預かり金」は、
毎年300万円-600万円ほどあり、それらを代々の団長が引き継ぎ、
統一地方選挙時に各議員に約50万円を配分していたと証言しました。
西村市議が市議団を名誉毀損で訴えている訴訟で、「預かり金」の
歴代の額を陳述書に記載しており、それによれば1997年から2003年までで
約3600万円にも上ります。
裁判長から、2002年からは市への返還金が発生している件について問われた
西村氏は、「それは本来は返還しなくてもよい(領収書はある)が、市民からの
訴訟が相次いだので、預かり金の中から“金額は団長一任”で一部を市に返還した」、
と証言しました。
04年度に西村氏が市議団に提出した250万円分の日付も名目も書いてない
不明朗な7枚の領収書について尋ねられた西村氏は、「団の共通政務調査費として
各議員が支出したが、各議員がどうしても領収書を提出してくれなかったので、
私が別件で支出した共通政務調査費の領収書で請求しようとした。」と釈明。
しかし、「その調査はいつ、どこへ、どなたと行ったのか」と追及すると、
「説明は難しい」と答えました。
西村氏が会派の口座から「預かり金」分を引き出し、自宅に保管していた件について
自民党市議団側弁護士から質問された西村氏は、「どこで保管しろという
協議はなかった。他の共通経費と一緒になっていたのを区別するため」という
説明に終始しました。
尋問後、名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は記者会見をし、「西村氏は
プール金が政治資金に流用されていたことをはっきり認めており、政務調査費の
ずさんな処理が明らかになった。市議団側、西村氏側も預かり金分の領収書が
あることでマネーロンダリングは完成したと認識しているようだが、これでは
不正流用だ。領収書さえあれば何でもできてしまう。
領収書と市に提出される収支報告書が一致せず、収支報告書自体がでたらめである
疑いがきわめて濃厚になった。札幌高裁、名古屋高裁の判決にあるように、
使途に濃厚の疑惑があるときの主張立証責任は各会派側にある。
そもそも、領収書が市民に公開されていないことで全体が疑わしいように
なっている。判決の結果にかかわらず、プールしてきた預かり金については
市に返還してもらいたいし、領収書を公開するような条例改正が必要だ」と述べました。
今回の尋問は、100席ある傍聴席が満席となるほど多くの市民の関心を呼びました。
市への返還額の「団長一任」との西村氏の言に「ふざけるな」とのヤジも飛び、
裁判官らも苦笑していました。
次回期日は06/9/13(水)午前10時30分から、名古屋地裁で行います。
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西村市議が指摘した政務調査費の残高と市への返還額(単位・円)
(2006年7月13日中日新聞1面より 甲12号証の1)
年度 残高 市への返還額
1997 3,489,043 0
98 3,185,532 0
99 5,508,297 0
2000 4,120,737 0
01 5,458,517 0
02 6,099,538 1,651,758
03 1,215,670 1,466,242
(※4,100,000)
計 33,177,334 3,118,000
※は決算前に西村氏が引き出し
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2006年7月13日 日刊県民福井
政務調査費「7年で3000万円プール」 名古屋市議団・西村元団長
http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/sya/20060713/mng_____sya_____008.shtml
2006年7月13日 中日新聞
西村市議陳述書 「派閥抗争」生々しく 政務調査費問題 実名挙げ内幕暴露
2006年7月14日 中日新聞
怒声と失笑 どんぶり勘定 自民名古屋市議団 政務調査費訴訟
西村元団長の地裁証人尋問 返還額の決定「団長一任」
選挙前に全議員へ分配
「政務調査費を私物化」オンブズマンが批判
2006年7月14日 朝日新聞
自民党名古屋市議団「市議選前 プール金分配」
西村元団長 政調費の慣例証言 プール金「7年間で3300万円」
■暗黙のルール ■突然の返還金 ■自宅で保管
自民名古屋市議団 政調費西村元団長の証言要旨
03年選挙「50万円前後」 分配指示は「時の団長」
2006年7月14日 毎日新聞
西村市議「選挙前、議員に分配」
政調費訴訟 名地裁弁論 ずさん処理、証言
■目的外使用 ■領収書なし ■返還の理由
2006年7月14日 読売新聞
政務調査費返還訴訟「選挙費用に分配」
西村・元自民名古屋市議団長「改選期に」流用認める
西村市議“爆弾証言”政調費「税金の私物化」原告側「乱脈ぶり明らか」
名古屋市議団「精査して反論」
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/060714_1.htm
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名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/
市民オンブズマン 事務局日誌 「政務調査費」
http://ombuds.exblog.jp/i9
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