直販で条項なし＝回収5％止まり 浜田市無線談合高裁判決／自治体は“10～20％条項”を標準装備に

違約金条項の欠落は“高くつく”。 浜田市の無線談合判決は、条項なしの直販でも約5％の支払い命令にとどまりました。

条項があれば“自動で10～20％”を請求・回収、なければ裁判コストを払って回収率は低下。

結論：自治体は契約時に10～20％の約定違約金を必ず入れ、条項どおり機械的に回収すべきです。

▼各自治体は「談合発覚時の約定違約金」条項を事前設定せよ

全国市民オンブズマン連絡会議では、各自治体が発注する事業において、「公正取引委員会の課徴金納付命令が確定した場合、約定違約金（契約金額の△％）を事前に定めておけ」と各自治体に要望し続けてきました。

▼各自治体（直販）は、約定違約金通りに請求し回収

全国の自治体で発覚した、消防デジタル無線談合では、多くの自治体が「約定違約金」（多くは10％～20％）を定めていました。

自治体が談合業者と直接契約する「直販」の場合、各自治体は約定違約金通りに談合業者に請求して、満額を回収する事例がほとんどでした。

▼「直販」浜田市　約定違約金を定めず　富士通ゼネラルを提訴し1審勝訴

浜田市（直販）は約定違約金を定めていませんでした。

浜田市は、契約した富士通ゼネラル、その他談合した沖電気、国際電気（旧日立国際電気）、日本無線を相手取って損害賠償請求を行いました。

１審松江地裁では、富士通ゼネラル外3社が連帯して1169万4351円の支払い命令（約4％）が出ました。

・2024年10月29日　松江地裁判決

　https://www.ombudsman.jp/dangou/musen/241029hamada-1.pdf

▼2審では富士通ゼネラルに対して増額　理由部分は黒塗り

2審広島高裁松江支部では、富士通ゼネラルに対し、外3社と連帯して1377万2477円の支払い命令（約5％）が出ました。（浜田市は上告）

・2025年9月10日　広島高裁松江支部判決

　https://www.ombudsman.jp/dangou/musen/250910.pdf

しかし、浜田市に対して判決の任意提供申出を行ったところ、理由部分は黒塗りでした。

理由部分の黒塗りは、理由全文の再提供請求や非公開理由の妥当性チェック（部分開示原則）につながる論点です。

条項を10～20％で事前設定していれば、ほとんどの直販案件で“条項どおりに機械的回収”が可能です。未設定だと裁判が必要になり、回収率は落ち、時間コストも膨らみます。

他自治体の対応を促す大きな前例となるでしょう。

▼総額47.7億円（直販39.8億／間販7.9億、訴訟あり14.7億／訴訟なし33.0億）※詳細は下記

全国市民オンブズマン連絡会議は富士通ゼネラルが関わった自治体にアンケートを行いました。

2025年9月28日現在、富士通ゼネラルが自治体に支払った額は以下となっています。詳細は以下リンクで読めます。

https://www.ombudsman.jp/dangou/musen/250928.pdf

・訴訟を起こして自治体に支払い済み　

　直販　10自治体　8億8974万3760円

　間販　12自治体　5億8462万9207円

・訴訟無しで自治体に支払い済み

　直販　29自治体　30億9117万2381円

　間販　7自治体　 2億 872万5115円

合計　　58自治体　47億7427万 463円

▼自治体は必ず契約時に「違約金条項」を事前設定せよ

富士通ゼネラルの和解状況を見ると、少なくとも「直販」（談合業者が直接自治体と契約）の場合、基本的には「違約金条項」がある場合、「違約金条項」どおりに支払っています。

訴訟無しで支払うことも増えています。

自治体は〈直販〉案件を中心に、談合発覚時の約定違約金（10～20％）を契約時に必ず盛り込み、条項どおり機械的に回収すべき。

未設定は回収率の低下と訴訟コスト増を招きます。

▼市民にできること

あなたの住む自治体は大丈夫でしょうか？

１）富士通ゼネラル一覧表をチェック（談合発覚時の約定違約金の有無・％・適用範囲）

　https://www.ombudsman.jp/dangou/musen/250928-1.pdf

２）請求・納入の実績を確認（請求書・納入通知・和解議決）

３）請求していなければなら住民監査請求（地方自治法242条／書式は各オンブズへ）

詳しくは、お近くの市民オンブズマン団体か、office@ombudsman.jp　まで

☆各地の市民オンブズマン　https://www.ombudsman.jp/prefs_menu

　

▼市民オンブズマンへの支援を

全国市民オンブズマン連絡会議は2025年10月25日-26日に開催する第32回全国市民オンブズ 大大阪大会2025で、消防デジタル無線談合に関して自治体アンケート送付結果を発表します

https://ombuds2025.peatix.com/

まずは2025年10月末までに50万円——調査・開示請求・全国調査の基盤費に充てます。

市民オンブズマンは、自治体や企業からの支援を一切受けていません。だからこそ、公平で市民目線の調査ができます。

今後も継続的な活動のために、ぜひカンパでご協力ください。

なお、このままですと、来年以降、現在の事務局職員体制を維持することは困難となります。伏してご協力をお願いいたします。

https://www.ombudsman.jp/office/kanpa

http://www.jkcc.gr.jp/profile/01_09.html

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全国市民オンブズマン連絡会議　消防デジタル談合ページ

https://www.ombudsman.jp/dangou/musen