リニモ(東部丘陵線)について今後どうあるべきか、問題点は何かなどを聞きに、来週大学生が訪ねてくることになりました。
過去の資料をネットに載せておきたいと思います。
以下の文書は、2002年頃に名古屋市民オンブズマン名で、包括外部監査人に送付した資料です。2005年の万博開催にあわせてリニモができてしまいましたが、今こそ当時の指摘が生きてくるのではないでしょうか。
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包括外部監査の対象に東部丘陵線を取り上げることを望む
名古屋市民オンブズマン
東部丘陵線は
1.機種選定がずさん
2.需要予測がずさん
3.収支予測がずさん
なので包括外部監査のテーマとすることを望む。
はじめに
東部丘陵線は平成4年1月の「運輸政策審議会答申」において、「中量軌道系の交通システムとして2008年までに整備することが適当である路線」として位置づけられた。平成12年2月には「愛知高速交通株式会社」が設立され、資本金81億円のうち愛知県が30.9%、名古屋市が9.3%出資している。現在開業予定時期を平成16年度末に定めて建設中である。しかしながら、1.機種選定 2.需要予測 3.収支予測の点から疑義があり、採算性にきわめて不安が残る。包括外部監査のテーマとすることを望む。
1.機種選定がずさん
本東部丘陵線は、世界初の実用化HSST(磁気浮上システム)である。平成10年3月に開かれた「東部丘陵線都市モノレール等調査委員会」によって、磁気浮上システム、跨座式モノレール、新交通システムのどの3機種によっても、事業化の見込みがあるとされた。平成11年7月に開かれた「東部丘陵線導入機種選定委員会」で、当地域には磁気浮上式システムが投入機種として最適であるとの提言が出て、HSSTに決定された。しかしながら、3機種の比較をした表
【別紙1】(H12.10.15 愛知万博検討会議資料より)をみても、どうしてHSSTが総合評価で1番であるかはっきりしない。経費で見ると跨座式モノレールの方が安いし、環境に配慮するのなら動力費が一番高いHSSTを選定するのは不自然である。平成元年から4年にかけて大江実験線でHSSTの技術的調査があり、当初からHSSTに決まっていたと考えるのも不自然ではない。
2.需要予測がずさん
平成3年度-5年度に行われた「第3回中京都市圏パーソントリップ調査」から東部丘陵線の予想需要をはじき出している
【別紙2】。同様な事業との比較として、他府県のモノレール事業の比較表がある
【別紙3】(平成12年度の沖縄県包括外部監査のデータより)。それによれば、各社ともパーソントリップ調査を用いて需要予測をしていたにもかかわらず、東京モノレールを除き、各社とも計画利用客数と達成率との間に大幅な乖離(34.9%-67.1%)が生じている。地元では、小牧のピーチライナー(平成3年開業)は平成10年度に需要予測の23.5%、11年度は20.6% 、12年度が18.3%である
【別紙4】(H13.10.2愛知県議会企画環境委員会答弁)。また、それによると東部丘陵線の利用見込みの5割弱が学生・生徒と推計されているが、「東部丘陵線沿線公共交通体系検討協議会」には実際の利用者の代表である学生が入っていないどころか、アンケートもとられていなかった。現在、第4回中京都市圏パーソントリップ調査が実施されている(平成13年度-15年度)がどのくらい正確なのかわからない。過去のパーソントリップ予測と実際とのずれをもっと認識すべきだし、直近の予測データを素早く事業に反映すべきである。なお、平成14年4月17日に開かれた愛知県議会企画環境委員会と大学関係者との意見交換会の席上で、学生・生徒、教職員アンケート調査結果概要<速報>
【別紙5】が配布されている。前提条件が現行路線バス並み運賃とあり、特許申請時とは異なっており、詳しい情報を開示した上での全数アンケートが望まれる。
3.収支予測について
愛知県高速交通株式会社は平成12年12月20日に国土交通省(旧運輸省)鉄道部都市計画課に特許申請を行った際の「東部丘陵線(藤ヶ丘~八草)の損益収支計算書」が情報公開法により公開された
【別紙6】。同時に公開された収支算定要領
【別紙7】によれば、初乗り運賃は平成10年価格で200円(2区以降2キロ増すごとに60円加算)、運賃上昇率は5年ごとに12%の運賃改定を行う、とある。各駅間の距離から全運賃表を独自に試算してみた
【別紙8】。開業30年目には初乗り440円、藤ヶ丘-八草間が970円と試算され、利用する側としては非常に高額であることがわかった。
また、需要予測に基づく運輸収入が損益収支計算書に載っているが、需要予測を下回る運輸収入の場合の損益収支計算書を、想定料金はそのままで独自に試算してみた
【別紙9】。利用客見込が20%乃至30%程度の狂いが生じただけで、106億円乃至159億円もの巨額な資金不足が生じてしまうのである。一般に民間企業であれば、かかる巨大な資金不足が生ずる事業の継続は、事実上困難と解される。本事業継続に当たっては、この資金不足問題を現実的かつ具体的にどう対応していくべきかが、早急に検討されなくてはならない。
以上
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別紙1-9(一括)
http://nagoya.ombudsman.jp/data/HSST-1-9.pdf
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