迷走している名古屋城の木造復元事業!
あなたは、歴史的遺産の保存と「夢の復元」のどちらを選びますか?
名古屋城天守をめぐる復元事業と石垣保全の間で、いま市民の選択が問われています——。
名古屋市が強引に進めて来た名古屋城木造復元事業は、2023/6/3に名古屋市が開催した、バリアフリー市民討論会での参加者の差別発言と、河村前市長の「熱いトークがあってよかった」で事実上ストップしています。
一方、名古屋城の天守台周辺石垣はふくらみ・はらみが生じており、どう保存対策をするかが有識者会議で議論され続けています。
25/3/19に開催された名古屋城石垣・埋蔵文化財部会の議論を見ていきましょう。
・25/3/19 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会(第65回)
配付資料(II 天守台天守台西側内堀御深井丸側石垣及び鵜の首(小天守西)水堀側石垣の保存対策 は議論せず)
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
はじめに、名古屋市の担当者から「赤羽一郎委員が体調不良を理由に2025/3/31で委員を退任する」と発表がありました。
千田嘉博・名古屋市立大学教授は「特別史跡の石垣はどこを守らないといけないか。
また、過去にあったが埋められたり改変された石垣があるが、図示されていない。
さらに、石垣の勾配の資料もないが、対策方針を決めて欲しいというのは、『何のための会議』か。組織として理解が共有されているのか。」と指摘しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「前々回の会議で私がくいついて、ようやくU66(大天守西側対岸石垣)やS10(鵜の首西側石垣)の資料が出てきた。
以前はU65石垣(大天守北側対岸石垣)だけだった。」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授は「U66ははらみだしており、S10は石塁で地震に脆弱。しかも観光者の重要な動線となっている。
単純でかつ安全な方法としては押さえ盛り土がいい。景観の問題は後で検討する。S10も押さえたほうがいいのかな。」と述べました。
宮武教授は「資料を分析すると、地下がぐちゃぐちゃのようだ。石垣の前押さえをしないといけない」と述べました。
千田教授は「前押さえする方法として蛇籠を置く方法が提案されているが、5メートルの高さの石垣に、3メートルの蛇籠を置くと、内堀の景観に与える影響が大きい。
いくつかの提案をしてほしい。前に積むのが決まったかのように提案するのは不誠実。
そもそも、名古屋市は天守を木造化しようとしており、工事のため内堀を軽量盛り土で埋めて上に重機を通らせようと計画していると聞く。
今回の『内堀に蛇籠を置く提案』は、これまでの議論とは違う。
緊急石垣対策として国の補助金をつかって蛇籠を置いて後に撤去するのは税金の使い方として許容されるのか。文化庁から『天守木造復元する際に内堀を埋めないんですね』と言われたらどうするのか」と述べました。
一旦休憩を挟んで、名古屋市は「まずは人の安全確保が必要。広報を決めたわけではない。木造天守との関係は大事な視点なので整理したい。第2章は時間の無駄なので本日は議論しない」としました。
オブザーバーの山内良祐・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室は「どこかの部会で『いままで石垣崩落で人命失われたのはないが、ここでおこらないとは限らない』とあった。
どういう方法が最善なのか議論を」としました。
オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「以前上司から聞かれ、『石垣が崩れてから直すと3倍くらい費用がかかる』と説明した。
動線計画について、この部会で議論するのは違う。庁内の議論が足りない。
補助金については今回の措置が仮なのか、応急なのか、本整備なのか。
蛇籠が仮整備なら補助対象とならない。『本整備』なら対象になる。2-30年くらいが目安となる。
大きなプロジェクトがなければ簡単だが、そうでないので、今何をすべきか。
会議の前に相談を受けて指導できれば」と述べました。
千田教授は「この部会に、学芸員がほとんど参加していない。こういう機会に学んで、若手学芸員の成長を」と述べました。
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以下感想
名古屋城の石垣は「本物」です。
将来予想されている南海トラフ地震や名古屋直下型地震に備え、早急に石垣対策をすべきです。
・平成29年1月24日 名古屋市防災会議地震災害対策部会
名古屋市付近に推定されている断層に関する報告書
残念ながら、いつできるのか、そもそもできるのかわからない木造復元事業に名古屋市は人的・資金的リソースを振り分けています。
「急いで石垣対策をしないといけないが、将来的には木造復元事業もしたい」では、今回のように矛盾が生じてしまいます。
限られた税金の投入先として、なにを最も優先すべきなのでしょうか。
私たちは今こそ、「石垣と人命を守る」ことを最優先に考えるべきではないでしょうか。
主権者としての市民が問われています。
有識者会議の傍聴、名古屋市会議員への声が、この問題を動かす第一歩になります。
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
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