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2024年 11月 08日
名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業について河村たかし前名古屋市長当選時から15年にわたって監視・追及してきました。 数十万円かけて情報公開請求したり、市議会・委員会傍聴、 有識者会議傍聴した結果は以下ページにまとまっています。 ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ ・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題 (ただし、上記は本文だけで160万字を超えているので、ジャーナリストの毛利和雄氏が24/7/1に発行した『名古屋城・木造天守復元の落とし穴』(新泉社)を読まれるのをおすすめします) また、ジャーナリストの水野誠志朗氏の記事もお読み下さい。 ・2024年3月11日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる いつになってもできない木造天守。名古屋城木造復元事業の10年を振り返る(第一回) ・2024年4月18日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる 市民説明会にサクラ!? いつになってもできない木造天守。名古屋城木造復元事業の10年を振り返る(第二回) 今回、24/11/24投開票の名古屋市長選挙前に、「情報公開から見た名古屋城木造復元事業」をまとめてみたいと思います。 ------- 情報公開から見た名古屋城木造復元事業 名古屋市民をはじめ、マスコミ、市議、市長候補すら「名古屋城木造復元」について、きちんと判断できる材料を得ていないのではないでしょうか。 それはどうしてか。 名古屋市民オンブズマンは「市が情報をきちんと出していないから」と考えます。 名古屋市民オンブズマンをはじめ、各地の市民オンブズマンや市民団体は「無駄な公共事業」を追及してきました。 名古屋城木造復元事業は「事業が進まない公共事業」だと考えます。 ただ、名古屋城木造復元事業は「通常の公共事業」とは違った性質があります。 ①完成形(なにができるか)が見えない、決まっていない ②「決まった」ことも市は積極的に広報しない ③完成形が法律に適合するかがわからない ④需要予測・収支予測が不明 ⑤内部情報がほとんど公開されない ⑥河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる ⑦市議・マスコミの情報発信が不十分 ①完成形(なにができるか)が見えない、決まっていない 通常、ダムでも道路でも、なにができるか確定し、それに対して賛成・反対が議論されます。 しかしながら、名古屋城木造復元事業については、どのような形になるか完成形がいまだに確定していません。 2023年6月12日に開催した「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)」で、昇降装置(エレベーター)以外はいちおう確定しました。 小型の新昇降技術で何階まで登れるかは、7811万1000円でMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、いまだに確定していません。 文化庁は「何階まで昇降技術・エレベーターを付けるか」確定してから現状変更許可申請書類を持ってこいといっています。 これでは賛成・反対言いにくいのではないでしょうか。 その後、文化庁復元検討委員会で数年かけて審議される予定です。 疑問点等があれば、名古屋市に質問し、申請書類を変更することもありえます。 ②「決まった」ことも市は積極的に広報しない 名古屋城木造復元事業の図面は、昇降装置(エレベーター)以外は有識者会議でいちおう確定しています。 河村たかし前名古屋市長は「本物復元」と発言を繰り返していますが、上記資料を読めば、「天守の基礎はケーソン、建物荷重は鉄骨で受け止め、補強金物等の工事と耐震ダンパーを設置。各階にはコンセントが多数あって、天守全域にLAN配線を完備」(2023年6月25日 千田嘉博名古屋市立大学教授 X )がわかります。 その他、史実にない「木造天守に入るための小天守入り口に取りつけられる金属製スロープ」「3階から4階までの階段」も付けます。 なぜか上記については、名古屋市は積極的に広報していません。 ③完成形が法律に適合するかがわからない 名古屋市は、「本丸御殿同様、名古屋市建築審査会で『建築基準法の適用除外』の同意を得る予定」としていますが、建築基準法同等の耐震・耐火性能を確保したいとしています。 2020年1月29日に、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから「消防設備システム評価書」を受け取り、十分な防火安全性能を有すると認められています。 また、2019年1月21日に、名古屋市は一般財団法人 日本建築センターの「評定書」を受け取り、「大天守の最大同時在館人数を2500人を上限とする」ことなどを条件に妥当と判断しています。 ただし、一部建築士からは「2方向避難路がないのは消防法・建築基準法違反」という指摘がありますし、市建築審査会が「同意」するかどうかはわかりません。市消防長の同意も必要です。 日弁連は2022/10/24に「あえてエレベーターを設置しないのは差別になり、憲法・各種条約・障害者基本法法等に違反するとする要望を出しています。 違法の建築物を建てるのは違法ですし、違法なものは「市のシンボル・誇り」にはなり得ません。 ④需要予測が不明 全国市民オンブズマン連絡会議では2014年9月に「公共事業の需要予測の外れ率」(鉄道・コンテナ港)を調査し発表し、多くの公共事業は過大な需要予測をしているとしました。 一方、名古屋城木造復元事業については、「入場料収入のみで建築費・運営費をまかなう」という河村前市長の方針を受け、「年間360万人が50年間続く」という試算を出しました。 河村市長は2015/12/12に「ある学者は江戸城で500万人来ると見込まれており、名古屋城木造化でも同じくらい来ると言っている」といいながら、その学者の氏名を聞いても「学者のプライバシーがある」として明らかにしませんでした。 名古屋市は、2017年度に第三者機関に入場者数見込及び収支計画についての調査を委託しました。 名古屋城木造復元が2022年12月完成、リニア新幹線が2028年度に開業するとして、2071年度までで低位シナリオで64億6500万円の赤字、基本シナリオで14億6700万円の赤字、高位シナリオで45億4600万円の黒字としています。 しかしながら、2024年1月現在、「木造復元は順調にいって2036年度」(2023年3月名古屋市発言を元に、名古屋市民オンブズマンが主張)。 品川-名古屋間のリニア新幹線開業は2034年度以降に延期されました。 名古屋市は「文化庁への現状変更許可申請時期が定まらず、竣工時期が決まっていないので、申請時期が定まってから収支見込みを作る」としています。 税金のムダ遣いを追及する名古屋市民オンブズマンとしては、本来は「需要予測が過大で、途中で税金投入するおそれがあるのでは」と主張したいのですが、①なにができるか決まっていない②合法か不明 ④需要予測を市が示していない ため、主張することすら出来ません。 ⑤内部情報がほとんど公開されない 名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13~2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟を行い、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた22/3/30名古屋地裁判決が確定しました。 河村市長は文化庁に対して「ゆっくりやるとコンクリートの改修になる。これは世界の大恥。」などと述べていたことが訴訟ではじめてわかりました。名古屋地裁判決では「文化庁職員の発言」「市職員発言(文化庁職員との対話内容)」は公開を命じず、いまだに不明です。 いったい文化庁は名古屋市になんと言っているのか。名古屋市民オンブズマンは文化庁にも情報公開請求していますが「不存在」です。 大村秀章愛知県知事は2019/6/24記者会見で「文化庁及び専門家の主張は名古屋城の石垣が特別史跡で国宝だと。 保存について調査をし、計画を作り、取り組む。そのことが担保できないと認められないということをですね、当初から言っておられたという話は、私は聞いております。あえて言えばですね、名古屋市さん、もうそろそろ本当のことを言ったらどうかという率直な感想を持っております。 権力者が権力を使って職員に無理強いをして、結果できなかった、市に損害を与えたということになればですね、これはえらいことではないかというふうに思います。 河村さんが選挙公約でうんぬんということを言われましたけれども、感想だけでもちょっと申し上げますと、公約に挙げたからといったってできないものはできないという、ただそれだけのことじゃないんですか、それ。」と述べています。 ⑥河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる 名古屋城木造復元事業の極めて特異な点は、「河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる」ということです。 名古屋城木造復元に関するバリアフリー新技術公募に関する2022/12/5河村前市長と市当局の発言が象徴的ですが、市当局は市議会経済水道委員会で新技術公募の結果を発表し「『車いす1台、介助者1名』もしくは『乗員4人』の小型昇降設備を導入する方針で、可能な限り最上階を目指す」としたのに対し、河村前市長は「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べました。 障害者団体が河村前市長の撤回要求と抗議をしたのも当然です。 24/9/18に発表された「『名古屋城バリアフリーに関する市民討論会』における差別事案に係る検証について(最終報告)」では、「『史実に忠実』について 市長、副市長、職員間の解釈の不一致があった」「市としての方針を正確に理解してもらうための情報提供の不十分性」を指摘しています。 ⑦市議・マスコミの情報発信が不十分 名古屋市民オンブズマンは名古屋市議のホームページやブログ、SNSを可能な限りチェックしていますが、名古屋城問題について共産党以外ほとんど発信がありません。 市議は市議会ではそれなりに追及しているのですが、議事録が出るのは3ヶ月後と遅く、市議会本会議・委員会動画をわざわざ見る人はほとんどいません。 マスコミも、市議の追及をほとんど報道していないように感じます。 マスコミ報道を見ているだけでは、名古屋城木造復元事業の問題は理解できないのではないでしょうか。 大村秀章愛知県知事は2019/6/24記者会見で「取材されたマスコミの皆さんは知ってたんじゃないんですか、これ大体。前提として事実関係を知りたい。事実関係を知りたい。何でこうなったのか。何で許可のめども立たないのに500億円という予算を立てて、議会も議決して。許可のめどが立つまでは木材は買っちゃ駄目だと言われていながら、それでも100億円も契約してどんどん製材をしてしまったと。当然のことながら許可は出ないと。 これは一体何が起きたんだと。我が日本国でこういうことが起きるのかということが私は不思議でならないんで、事実関係を是非しっかりとね、詳細につまびらかに、事細かに、いつ誰が何を言ってこうなったのかということもですね、是非知りたいというふうに思います。」と述べています。 -------- 名古屋城木造復元事業をめぐる問題点はあまりにも多くあります。 (関心のある方は、「160万字」をお読み下さい。 ブログの「記事を解説しているセリフ付き絵」を読むだけでも勉強になります) 情報公開請求の「限界」は、「とっかかりがないと情報公開請求できない」というものです。 名古屋市職員が文化庁へ出張していることは予測できますが、「河村たかし前名古屋市長が、市職員に対して『指示書』を出していた」ことは、中日新聞が17/4/1に行った市長選挙立候補予定者2人による討論会の中で、河村前市長が、「名古屋市職員から『名古屋城天守閣木造化できません』と言われた。市職員から『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ』という要望を受け、実際に業務命令書を書いた」と発言したことから、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求し、17/4/20に入手しました。 ・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし 2024/11/24投開票の名古屋市長選挙で誰が当選されても、過去の経緯の徹底的な調査を求めます。 ----- ※ぜひともカンパをお願い致します。 情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。 名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。 今後ともご支援頂けますと幸いです。 《郵便振替口座》 口座番号 00870-9-105687 加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ 《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687 加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ 《資金カンパ送付先・問い合わせ先》 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 502号室 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局 Tel:052-953-8052 Fax:052-953-8050 メール:office@ombudsman.jp -------- ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ ・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題 ------- 24/11/6 中日新聞デジタル 【ノーカット】名古屋市長選2024 主要な立候補予定者3人が討論 中日新聞社主催 24/11/8 名古屋青年会議所 令和6年度名古屋市長選挙公開討論会
by ombuds
| 2024-11-08 23:59
| 名古屋城
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