23/3/8名古屋市議会経済水道委員会で、江上博之市議(共産)から「木造名古屋城が赤字で年間10億円以上税金投入でも、二之丸庭園・東南隅櫓・多聞櫓を復元するのか」と質問があり、上田剛名古屋城総合事務所長は「木造復元に引き続いて、可能な限りこうした名古屋城全体の整備についても取り組みを進めていきたい」と述べるに留まりました。
・23/3/8 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
江上市議は「二の丸庭園だけじゃなくて、第2期の金シャチ横丁の問題、博物館とか、芝居小屋風の多目的施設の建設費だって大きな支障があると思う」と述べ、木造復元を中止すべきと述べました。
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1873年に廃城令が公布された後、各地の多くの城郭建造物は競売に掛けられ、民間に払い下げられ、特に天守閣や櫓などの巨大な建造物は移築や維持に莫大な費用がかかるため、安価で売却されたといいます。
名古屋城は永久保存方針を決定しましたが、保存修理の費用や人員の負担が重くなったことから、1893年に陸軍省から宮内省に移管しました。その直前の1891年に発生した濃尾地震のため、本丸多聞櫓や西之丸の榎多門は大破し、石垣も崩壊。修復は陸軍省が費用を負担したものの、本丸多聞櫓は撤去され、それ以降復元されていません。
今後仮に名古屋城木造天守ができた場合で、大赤字になった場合は、保存修理の費用などがかさんで名古屋城の他建物の復元に悪影響が出るどころか、木造天守自体の存続さえ疑問視する風潮も出かねないと危惧します。
江上市議が主張する「年間10億円の赤字」の根拠は不明ですが、仮に年間10億円の赤字が50年間続けば500億円。200年続けば2000億円の赤字となります。
それだけ赤字ということは観光客数も少なく、将来の名古屋市民が木造名古屋城の存続を疑問視してもおかしくは無いのではないかと思います。
三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋が2018年6月に発表した収支計画では、2017年度~2071年度の55年間の収支予測は基本で▲15億円。低位で▲65億円。高位でも45億円の黒字です。
これはコロナ禍前の試算なので、国内旅行者・外国人入場者の減少、インフレによる資材費・人件費の高騰、木材保存経費の増大、工期延長による事業費増大については一切触れられていません。
23/2/17に開かれた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「安全確保するなら、1時間2500人でも多いかもしれない」と述べ、年間360万人の前提を覆すような発言をしました。
しかしながら、名古屋市は「竣工時期が定まってから収支計画を策定する」と述べるのみ。
市にとって都合の悪いことは全て先延ばしにしてきた名古屋城木造復元事業。
今回の議会でどの程度議員が追及できるのでしょうか。
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ