名古屋市は22/12/16に「第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」を開催しました。
録音・録画は禁止されました。
構成員の1人はZoomで参加していましたが、傍聴するには会場に来る必要がありました(定員10名)。
・22/12/16 第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会 配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
22/3/23に開催された第1回懇談会では、最短2028年に完成予定と説明しましたが、今回は特に説明はありませんでした。
構成員は「名古屋城天守閣が木造復元されるので、それにあわせて現天守内に展示されていた展示物を、名古屋城博物館(仮称)に展示しようとするのは理解できる。
市民アンケートでは、『国宝や重要文化財の展示を見たい』が多かったので、ぜひ展示してもらいたい」「調査研究は一番必要」
「地域住民にとってどういう意味があるのか。『開かれた場である』というのなら、アクセシブル、インクルーシブが必要」という意見が相次ぎました。
また、佐々木雅幸・金沢星稜大学特任教授は「国内で『姉妹城』提携はあるのか?また、海外の城と姉妹関係はあるのか。各城郭美術館と提携すれば、企画展としてやれる」と述べました。
田沢裕賀・大分県立美術館館長は「名古屋は経済都市なので、観光観光に頼らないといけないのか? 本物にこだわるべきだ」と述べました。
オブザーバーの大竹正芳・名古屋商工会議所商務交流部長は「博物館ゾーン整備と併せて、回遊性を高め、アクセスができるようにしてほしい」と述べました。
オブザーバーの北折真人・公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー専務理事は「年間の入館者数想定や入館料見込みを示してもらいたい。
それが足枷になることがあるかもしれない。
また、あまり歴史学習、調査研究成果を押しつけがましく発信すると引かれる可能性がある。バランスをやってはどうか」と述べました。
オブザーバーの木村広聖・名古屋市博物館副館長は「2026年度に新しい名古屋市博物館がオープンする予定。
考える中で『社会的包摂 福祉』とどうかかわるか途方に暮れた。
また、学校の先生が求めていることが違うことがあった。現場のニーズとあわない。
1人1台タブレットが支給されており、学びが大きく変わる。
名古屋市博物館を設計する中で、当事者から話を聞いた。
名古屋城博物館でも当事者から今後話を聞くと思うが、『そうだったのか』という話が聞けると思う」と述べました。
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22/12/16の名古屋市内の新型コロナウィルス陽性者数は2797人、死亡者5人。
そんな中、懇談会はZoomを使っているにもかかわらず「傍聴するには会場に来る必要がある」(定員10名)とし、
「『開かれた場である』必要がある」「アクセシブル(近寄りやすいさま。利用しやすいさま)、インクルーシブ(包含しているさま。すべてを含んでいるさま。包括的)が必要」というのはあまりにも滑稽です。
名古屋城博物館(仮称)を作るのであれば、懇談会の時点から「開かれた場」「アクセシブル」「インクルーシブ」が必要ではないでしょうか。
なお、市議会でも問題となっていましたが、新しくオープン予定の名古屋市博物館と、名古屋城博物館(仮称)、西の丸御蔵城宝館の棲み分けをどうするかということは特に議論がありませんでした。
金シャチ横丁第二期整備(芝居小屋風多目的施設)(2025年度開業予定)についても特に説明がありませんでした。
さらに、2023年春に開館予定の名古屋刀剣ワールド/名古屋刀剣博物館(メーハク)については、一言も述べていませんでした。
最大200振の刀剣・日本刀を展示することが可能で、国宝や重要文化財、重要美術品といった貴重な刀剣・日本刀を見ることが出来るとのこと。
名古屋城天守閣木造復元後は、特に内部で展示する予定はないとのこと。
(博物館機能が失われます)
名古屋城博物館(仮称)でなにをどのように展示するのかわからないのですが、現天守の博物館機能を潰してまでして箱物を作るメリットはどれだけあるのでしょうか。
2012年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『天守耐震改修整備、展示内容見直し』と明記してありました。
それを、2018年5月に市民の意見をあまり取り入れずに策定した『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」としています。
今の名古屋城博物館(仮称)の議論は、理念ばかりで具体的に何を展示するのかというものが抜けているのではないでしょうか。
貴重な展示企画であれば、新たにオープンした西の丸御蔵城宝館をさらに活用すればよいのではないかと思いますし、名古屋市博物館もリニューアルされます。
ソフトの充実、既存の博物館のさらなる活用、隣接して新設予定の「芝居小屋風多目的施設」の活用でも足りないなにか、というのは一体何なのか。
今の議論では見えてきません。
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参考
・外務省 グローカル外交ネット
令和4年1月25日 大阪城天守閣館長 北川 央
大阪城と海外の城郭との友好城郭提携
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ