22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと初めて発表しました。
名古屋城木造復元事業に多大な影響が考えられます。
残念ながら、大手マスコミはだれも傍聴しませんでした。
また、録音・録画は禁止されました。
・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
配付資料
・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
配付されなかった資料(情報提供)
・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
--------
名古屋市は、2021年5月に「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を行いました。
その後、21/7/9に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査ならびに背面調査を行うべきとされました。
それに基づき、名古屋城調査研究センターと名古屋城総合事務所は天守台穴蔵試掘調査を行っていました。
本日の部会に先立ち、石垣・埋蔵文化財部会構成員は現場を視察したところ、天守台穴蔵石垣背面調査について、「極めて悪い環境であることがわかった、調査員の安全を十分に確保してほしい」としました。
さらに、宮武正登・佐賀大学教授は「どうしてこの場所を調査することになったのか、イメージが共有できていないようだ。
穴蔵石垣背面については、昭和天守再建時に無茶苦茶な工事をして、昭和に積み替えた石垣が不安定になっていることがこの1年の調査でわかった。
内側石垣を入れる為、斜めの勾配に掻き取っている。
(参考:21/12/25 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)配付資料)
今後の調査について(穴蔵石垣背面調査)
計画図(裏コンクリートあり) 計画図(裏コンクリートなし)
また、掘削したあとどうするのか。不安定な元に戻すのか、安定させるのか。
どうして昭和に積んだ内側石垣を外せないのか。
それには内側石垣の評価が避けられない」としました。
その後、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査について報告があり、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと報告しました。
北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「時間が無いので新しい報告のみ報告してほしい」としましたが、村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「今回すべて、初めて部会で報告する」としました。
宮武教授は「天守台の中に、オリジナルの遺構があることがわかった。事故があってはまずいので、やるときは思い切って調査してほしい」としました。
その他、舟運、本丸搦手馬出周辺石垣修復についても議論されました。
予定を超過して2時半議論がありました。
-----------
名古屋城大小天守閣穴蔵地下で近世石列等遺構を多数確認という歴史的大発見の割には、石垣部会の各委員は冷静に見えました。
部会での公式発表は今回が初でしたが、事前に委員に知らせていたのではないでしょうか。
実際問題、石垣部会委員も多数含まれている「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議」の21/12/25 第3回配付資料に、天守台穴蔵石垣試掘調査中間報告がありました。
「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項」では、「現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討が必要」とされています。
今回、名古屋城大小天守閣地下で近世石列等遺構が多数確認されました。
22/3/16名古屋市議会経済水道委員会で、村木副所長は「遺構は本質的価値を構成するものなので、今後も適切な形で残していくことが前提になる」と答弁しています。
木造天守と地下ケーソンをつなぐ「基礎構造」の検討は、新たに発見された遺構を保存するという前提で行う必要があります。
また、今後行う予定の穴蔵石垣背面調査の結果、新たな遺構が確認される可能性もあり、その場合もそれを保存するのが前提となります。
名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。
しかしながら、今回の新たな遺構発見で、予定通りには進まなくなったのではないでしょうか。
その議論が今回の石垣部会で時間が無かったためか十分行われなかったのは残念です。
-------
・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ