大川隆司弁護士「横浜IR中間報告には『市民の７割が当初からIRに反対していた』という視点がない」

22/4/23に開催されたかながわ市民オンブズマン総会で、大川隆司弁護士が講演「横浜カジノ問題を振り返る　-市の『中間報告』への提言」を行いました。

・配付資料

http://kana-ombuds.world.coocan.jp/casino-lecture20220423.pptx

PDF https://www.ombudsman.jp/data/casino-lecture20220423.pdf

大川弁護士は以下述べました。

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2022年２月に横浜市は「横浜ＩＲの誘致に係る取組の振り返り」（中間報告）を 発表した。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/sogotyousei/IR/irfurikaeri.html

それに対してかながわ市民オンブズマンとしてコメントを付ける必要がある。

2021年8月に山中新市長が誕生し、IR誘致が撤回され、市はIR推進室を廃止した。

山中市長は「誘致に至った経緯を検証し年度内に報告書にまとめる」としたが、2022年2月に中間報告するに留まっている。

「今後外部有識者の意見を踏まえて報告書を作成」とし、年度内公表は困難。

最終報告書は外部有識者の意見を踏まえるとあるが、市民が意見を出せばよいのではないか。

中間報告を読んだが、批判レベルに行かない。

既存の文書をホッチキス止めした資料集に留まっている。

林前市長は「IRは大きなテーマ　２０年３０年を見据えて実現する」と繰り返し述べていたが、なぜ市民に拒否されたのか。

中間報告には市民の意見へのまなざしが全くない。「市民の多くが反対」とはデータ集にない。

２０１７年８月に行われた前々回市長選の際も、前市長がIR表明した際も、いずれも世論調査では７割近くがIRに反対していた。

それが出発点として確認されていない。

全国国民も６割～７割以上がIRに反対している。多数派が反対したという出発点が確認されていない。

「カジノ反対」の根拠も紹介されていない。

うわべだけ、社会的コストについて「定量化のモデルが存在していない」とある。

・どれだけ市の財政に寄与するか

・デメリットはこれだけある

しかし、定量化、数値化しようという試みは何十もある。

中間報告では「ギャンブル依存症を数値化したものはない」と他人事。

市民は感覚・感情ではなく客観的に主張してきた。

韓国カンウォンランドでは１日８０００人の内５０００人は賭博中毒者。

賭博中毒者は１０日で１割（トイチ）どころではない、５日で１割利息を借りる。外でヤミ金に走る『ヤミ金の街』になるだろう。

オーストラリアの研究機関の報告書はリストには上がっているが中身は参照されていない。

カジノ重症者以外は９割いるが、落とす金は重度が４割。中度は２割。

カジノをやると依存症が発生する。つまりギャンブル依存症に業界が依存している。

賭博は２４時間開いており、青天井であることと無関係ではない。

賭けレースとは依存症の度合いが全然違う。

依存症は、薬物、アルコール、ギャンブルなどあるが、ギャンブルが最も受診率が低い。

しかもそれら治療法の効果は限定的で他に関心を移すしかない。

６割は６ヶ月以内で再発するという。

日本では「世界最高水準の入場規制」をするというが、韓国では、地元民は１ヶ月１回まで。二重の基準は日本にはない。

具体的な反省、総括ではない。

中間報告に「住民投票で決めよう」と記載はあるが、その中身はない。

市長の意見は全文載せている。「丁寧な説明」反省にたっていない。

しかも新型コロナでIRそのものが閉鎖された。

「大量に人を集める」カジノの未来が暗くなっている。

経済的な観点から質問しても、脳天気な回答ばかり。

アメリカ大手業者が撤退した。これまでにない投資が見込めるのか。

IRビジネスモデルがだめではないか。

オンラインカジノのシェアが増えている。日本はオンラインカジノ３年前と比べて１００倍。

国際会議、見本市と併用し、大型のIRで人集めはモデルにならなくなった。

MICEはうまくいかない。大型人集め装置が古くなった。

中国当局はジャンケット規制をしだし、マカオは国外にお金が流れ出し、２０兆円規模という。

仲立ちがジャンケット。マカオVIPルームが閉鎖された。

ギャンブル依存症の問題。ビジネスモデルの問題。

当然の疑問に対する回答が用意されていない。反省観点がない。

「『いらない』といわれてからセールスが始まる」という用語があると言うが、市民は６割７割もIRに反対し続けている。

ポイントがなんなのか。説得しようスタンスではない。負けるのは当たり前。

本来あるべき総括は上記だが、むなしい気がする。市民から何らかの発言はしないといけない。

これからも市のトップから下までが、市民の声に耳を傾けない。

口先だけで美味しい話しに付和雷同し、何億もの金を払う。

ここにお灸を据えることが市政にいい薬になるのではないか。

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かながわ市民オンブズマン

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