愛知県東栄町の東栄医療センターで人工透析が廃止され、2022年3月末に入院病床を廃止する件で、「東栄町をよくする会」が21/12/12に名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士を招いて第6回東栄町民学習会を行い、過去最多の52名が参加しました。
「東栄医療センター」をめぐっては、2021年1月に、入院病床の存続等を求めるため、設置及び管理に関する条例改正を求める直接請求がなされ、有権者の3分の1を超える977筆集まりました。
しかし町長は条例改正を求める町民に圧力をかけるチラシを配布するなどしました。
そのため町長のリコール運動がなされ、必要数を越える953筆が集まりました。
これをうけ、村上孝治町長は町長を辞任し出直し町長選に出馬し、21/8/8に再選されました。
村上町長は再選後、一旦中止した東栄医療センターの新築請負工事の入札公告を行いました。
村上町長は2021年3月議会で、建設整備費11億4266万円のうち、1億4227万円は「国民健康保険調整交付金」を申請する予定でしたが、町は事前に愛知県を通じて厚生労働省に確認しておらず、結局同交付金の要件を満たさないことが判明しました。
2021年9月、交付金相当額1億4227万円を含む1億6000万円について過疎対策事業債を起債するという議会の議決を得て21/9/16に入札を強行しました。
「東栄医療センター」メンバー4人は、1億4,227万円のうち、地方交付税を財源にできない3割に相当する4,268万円が東栄町の負担となったのは、町長の落ち度による損害だとして、村上孝治町長個人に賠償を求める住民訴訟を21/11/8に名古屋地裁に提訴しました。
本訴訟は名古屋市民オンブズマンと共同して行っています。
原告代理人である、名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「この裁判は『町長いじめ』ではない。交付金の申請断念は町長の落ち度であり、東栄町に損害を与える行為=町のサービスの減少ではないか、と裁判所に問いかけるもの」と語り、「裁判を通して東栄町の住民運動の素晴らしさを全国に伝えていく必要がある」と語りました。
また、「裁判は1年半から2年はかかる。スタートより、マラソンで言うと30キロの坂道を抜け切れるかが一番大切なところ。それは判決前の町長の尋問だ。東栄町がこのままでいいのか。
今後も町議会を監視しながら、もっと町が良くなる、という未来を描きながら、みなさん2年間バリバリ元気で生きていきましょう」と呼びかけました。
名古屋市民オンブズマンの内田隆は「東栄町は『現代日本の民主主義の発祥の地』ではないか。逆に東栄町の運動を学ばせていただきたい。これを愛知県内だけでなく、全国に発信していきたい。」と発言しました。
その後、原告4名が、心のこもった、命がけの思いを話されました。
Mさん「いまの町の税金の使い方について、町長だけでなく議員のみなさん、そして町民のみなさんに問いかけたい。ブレーキの壊れた自動車を乗り換えるために、私は訴訟で問題提起しました」。
Kさん「東栄町では、『自分の意見を発してはいけない、発言しても意味がない』というどこか諦めの雰囲気があったが、少しずつ『声を出してもいいんだ』と空気が変わってきた。12月議会を傍聴し、議員の質問を聞き、恥ずべき行為を感じた。保育園5億円、防災無線6億円、そして今回の医療センターの建設と現実離れした税金の使い方は、町長の職務怠慢ではないか。東栄町の人口約3000人は、全員の顔がわかるちょうどよいサイズ。一票の重みを知った私たちは、諦めることなく、真実を知り、話し合い、安心して住める町に変えたい」。
Sさんは、これまでの町政を振り返り、本郷大沼の土地が建設地となった経過を明らかにしました。
Aさんは、「21/11/8提訴の記者会見の時、たくさんの記者が来て多く報じられた。どこにそんな力があるのかと聞いたところ、『原告の言葉が生きている。東栄町はすごい』とのこと。リコールや条例制定運動をするたびに町民は元気になっている。打ち合わせのたびに確認しあって、もっと元気になっている。」としました。
第2部の自由発言では、たくさんの方々が意見を寄せました。
いずれの方のご発言も、深い議論に基づいたもので、本質を突くものでした。
新海弁護士は「財政には『色が付いている金』と、『色が付いていない金』があり、地方交付税交付金は『色が付いていない金』だ。箱モノにそれを使うと、人件費分がなくなり、サービスが低下する」としました。
ある参加者は「建設工事が始まった。もう何をやっても、どうしようもないではないか」という意見がでました。
新海弁護士は「3、4年後どうなるのか。住民訴訟は、何らかの解決を見出していく方法だ。町民のみなさんが、ここで生きていく以上、諦めず、誰も傷つかない、プラスの方法を提案していきたい」としました。
第1回口頭弁論期日は、2022年1月17日(月)午後1時10分、名古屋地方裁判所11階です。どなたでも傍聴可能です。
応援よろしくお願いします。


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