21/9/17に開かれた名古屋市会本会議において、浅井正仁議員(自民)の質問に対し、松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長は21/7/27に文化庁を訪問し、名古屋城現天守閣解体申請書を「一旦返却してもらった」ことを認めました。
・21/9/17 名古屋市会本会議 (名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
浅井市議は2021年6月本会議で、文化庁の所見を踏まえ解体申請は取り下げるべきと強く意見をしましたが、松雄局長は取り下げないとしました。
浅井市議は21/7/28に文化庁を訪問したところ、「21/7/27に松雄局長と佐治所長が文化庁に来て、現天守閣解体申請書を取り下げに来た」と言われたとのこと。
文化庁の山下文化財第二課長は「取り下げと認識している」とのこと。
浅井市議は松雄局長に、木造復元天守の完成時期の想定を聞きました。
松雄局長は「市長の決裁を頂いた上で、木造復元の内容を加えてあらためて出し直す方針を固めた。
文化庁に方針を説明し、『一旦返却』してもらった。市の方針に反して解体申請を取り下げたいとは言っていない。
竣工時期については、以前は2028年と提示したが、全体計画作成を丁寧に進めることが重要であり、途上である現段階で完成時期を答えるのは適切でないと考える」としました。
浅井市議は「言葉遊びだ。『返却』という行政手続きがあるのか。
21/6/23文化庁に提出した文書には『解体申請の取り下げをする場合は市の意思表示をすること。手続きは口頭でもメールでも事務連絡でもよい』と書いてある。
また、その際に市が持っていった工程表には『申請取り下げ』と書いてある。また、復命書には『現状変更許可申請に関する書類を受領した』としかなく、文化庁とのやり取りが記載されていない。
文化庁には『取り下げ』とし、市議には『返却』。
山下課長や調査官に『返却か』と聞いたら『申請には取り下げと継続しかない』と鼻で笑われた。
市職員に聞くと、みんな『取り下げ」というが、名古屋城総合事務所職員だけ笑いながら『返却』という。
市長はこのようにごまかして木造復元が進むと思っているのか。
今週初め、経済界の重鎮から『松雄局長から、木造復元を妨害しているのは自民党』と言われたと聞いた。
現状は石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ。
以前は石垣部会のせい、今は自民党のせいにしている。
あなたたちのせいではないか。
2年前の令和元年9月本会議で、松雄局長は『文化庁から一体として申請することが望ましいと伝えられている』と言っている。
市民から『いつ名古屋城ができるの』と聞かれ、『いやまだちょっとわからない』というと、『だって100億で木買っちゃったんでしょ』と言われる。
目標はいつなのか。」と述べました。
河村たかし名古屋市長は「取り下げということになると断念したと思われるから、それは良くないと言うことで出し直すように松雄局長に僕が指示した。変更でもいいから名前はそちらで考えていただいて。
時期は丁寧にやっているので、文化庁のとこにありますので、そういう段階」としました。
浅井市議は「市長、一緒に文化庁に行って返却に行きましょう」と締めました。
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名古屋城現天守閣の解体申請に係る現状変更許可申請書は、単独で提出しても通らないことは、2年前にはすでに文化庁から伝えられていました。
にもかかわらず、どうしてずっと「取り下げ」しなかったのか。
まさに河村市長が述べたとおり、「取り下げということになると断念したと思われるから」です。
名古屋城木造復元に関し、「やっている感」「進んでいる感」を出すためだけに、通りもしない解体のみの現状変更許可申請を提出してきた名古屋市。
浅井市議が述べるとおり、「石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ」です。
にもかかわらず「100億円で木材を購入してしまった」名古屋市。
石垣調査や基礎構造検討は一歩ずつ進んではいますが、最終的に木造復元が可能になるかはいまだにわかりませんし、出来ないと主張する専門家も多数います。
仮に木造復元が技術的に可能だとしても、「入城料だけで建設費・運営費をまかなう」計画が達成されるとは状況がこれだけ変化した現在、到底思えません。
「やっている感」の代償はあまりにも大きいです。
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ