21/6/21に、河村たかし名古屋市長の定例記者会見がありました。
・令和3年6月21日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
しかしながら、公式youtubeには名古屋城に関して発言はありませんでした。
記者会見の「第2部」で、名古屋城に関して発言していたことがTHE PAGE の動画及び文字起こしでわかりました。
21/6/21(月) 15:18配信 THE PAGE
名古屋市・河村市長が定例会見6月21日(全文3完)木造天守復元の議論始まるのでご安心を
文化審議会文化財審議会から名古屋市に出された、現天守閣解体への指摘事項に対する名古屋市からの回答が報告され、所見が出たとのこと。
・現天守解体、仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査、検討が一定程度進捗したものと評価できる
・天守解体の理由を木造天守復元と整理したのであれば、天守解体と木造天守復元を一体の計画として審議していく必要があると認められる。
・本申請については天守解体のみならず木造天守復元についても一体としてその内容に加えるよう見直しを図るのが適当である。
河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まるということでご安心をいただきたいと思います」と述べています。
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ところが、21/6/22朝日新聞記事によれば、「市は今後、解体と木造化を一体化した計画づくりを急ぐが、練り直しには『2年かかる』(市幹部)といい、見直した計画が許可されるかどうか見通せない。」としています。
これはどういうことなのか。
・現時点では、名古屋市は現天守の解体について文化庁に申請を提出し、文化審議会文化財審議会から「調査、検討が一定程度進捗したもの」と評価された。
・現時点では、名古屋市は木造復元に関して文化庁に申請書は提出出来ていない。
・文化庁は、「天守解体と木造天守復元を一体として申請する」のが適当と、名古屋市に述べた。
・名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」と述べた。
・仮に一体として書類を文化庁に申請できたとして、その後文化庁で何年審議されるかは不明。
河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まる」と述べていますが、そもそも復元についての書類が出来ておらず、「文化庁で復元についての議論が始まる」ことはありません。
むしろ「いまから復元についての議論」が名古屋市の中で始まるのではないでしょうか。
しかし、木造復元で極めて重要な部分である基礎構造の見直しについて、いまだに石垣部会・天守閣部会合同の「調整会議」が開かれていません。
2015年3月に名古屋市が「名古屋城整備検討調査報告書」で「可能な限り早期の木造復元が望ましい」としてから早6年がたちました。
当初予定していた2020年7月竣工はとうの昔に過ぎ去り、竹中工務店と基本協定を結んだ2022年12月竣工も正式に断念しています。
名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」としていますが、貴重な遺構である石垣を壊さずに、耐震性・耐火性・避難・バリアフリーを確保した形で木造復元計画が果たして2年で可能になるのでしょうか。
何年かけても上記条件をクリア出来ない可能性が非常に高いと、6年前から一部市民は主張しています。
仮にクリアしたとしても、現時点で総額505億円の工事費を入場料だけでまかなえるとは到底思えませんし、その具体的試算も出ていません。
文化審議会文化財審議会からの「所見」は、現天守解体に関しては一歩前進ではありますが、木造復元まであと何千歩かかるかわかりません。
もしかしたら、何万歩かけてもたどり着かないのかもしれません。
河村市長は、あたかも木造事業が進んでいるように見せているだけで、木造復元事業は文化庁に対しては6年前から一歩も進んでいないのです。
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2021年06月23日 09時57分 NHK
名古屋城天守閣 解体と復元を一体で
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ