21/3/8に名古屋市議会本会議が行われました。
21/3/8 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210308.pdf自民党の浅井正仁市議による、独自調査に基づく的確な質問と追及は、過去の市議会で類を見ないものでした。
以下当方で発言をまとめたところ、9つのスクープがありました。
【スクープ1】名古屋城総合事務所は過去2年間で10件の無許可違法工事を行い、一切公表していない。
【スクープ2】2021年1月21日に無許可で掘り、顛末書を教育委員会に10日を過ぎても提出せず。
【スクープ3】2020年11月内堀発掘調査で、幻の小天守と思われる遺構が発見されたがすぐに公表せず、石垣部会から指摘され3ヶ月後に公表。
【スクープ4】松雄観光文化交流局長が「2019年4月に局長になり、2019年6月までは市長主導の木造復元を実現しようとしていたが、うまくいかないと認識し、行政ベースの木造復元に大きく舵を切り、私がいる限り従来に戻ることはない。市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後では何年かかっても木造復元出来ない。私たちの基本的な考え方は、通常の11人乗りエレベーターを検討している」とある人にメール送信。
【スクープ5】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」と発言したが、文化庁は「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」と文書で回答。文化庁文化財第二課長も、松雄局長の発言を完全否定していただいて結構ですと発言とのこと。
【スクープ6】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向」と発言したが、文化庁は「名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても復元の資料が概要であっても拒否は出来ない。中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討して返すという意味」と文書で回答。
【スクープ7】今回発見された天守台内堀の「石列」について、松雄局長は「調査目的はおおむね達成されたので、遺構が保護されるよう、適切に埋め戻しを行った上で調査を終了し、その後地元有識者のご意見を伺いながら遺構の保護対策を図ってまいります」と答弁したが、文化庁は「今回の石垣の安定性の調査という目的では歴史的発見の遺構の調査はできない」と言っているだけ。調査をしないで埋めてもいいなんて言っていない。
【スクープ8】文化庁の正式な見解では、「今回発見された遺構の詳細調査より開発を優先する、つまり木造復元を優先するのは一般常識ではない。
なお、学芸員の能力不足で調査体制が不自由な、不十分な場合には名古屋市からの詳細調査の先送りの要望を考慮して、文化庁が決める」と言っている。
今回のような歴史的発見を公表しなかった事例は過去にはないと、文化財第二課長、山下調査官も当初、公表しなかったことが疑問にあったよう。
【スクープ9】文化庁の公式見解「3階の階段増設、避難用通路の確保は復元的整備。現代技術を活用した場合でも、耐震補強、防火設備消防法施行などは復元。当時の建築手法と異なる材料加工による組み立ては復元的整備が原則。」
浅井市議は、河村市長に「階段を増設したら復元的整備になるという説明を松雄局長から聞いていたのか」と質問しましたが、河村市長は「必要な防災上のものや、スプリンクラーや、電気などは当然付ける」としか答えませんでした。
浅井市議は「市長がなんと言おうが、今回公約した『復元』は出来ない。『復元的整備』だ」として、「復元のための予算は即刻取り下げていただきたい。」と述べました。
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松雄局長のメールなるものは、まだ手に入れていないのですが、浅井市議の発言が事実としたら、市民、議員、有識者に誤解を与えます。
また、2021年1月8日松雄局長発言も極めて誤解を招くものです。
「復元」か「復元的整備」かですが、21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会では、竹中工務店は「復元整備」とし、名古屋市は「復元を目指す」としています。
・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf3)今回は文化庁の基準で言う「復元」(規模と意匠を史実に再現する)か「復元的整備」(意匠を一部変更して再現する)かどちらか
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html→竹中工務店 「復元整備」 建築審査会を経て安全性、避難防災、耐震性の許可を頂く
→名古屋城 歴史的資料が豊富なので「復元を目指す」。
文化庁の定めにあるとおり、人面の安全を確保したい。構造補強、防災上の避難設備設置を含めて文化庁と協議したい。
バリアフリーについては上記基準には文言としては出てこない。考え方として、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立とした。柱や梁を変更せずに昇降可能な付加設備を導入する所存
浅井市議の今回の9つのスクープで、名古屋市は市民に対して誠実に対応してこなかったことが明らかになりました。
名古屋市令和3年度当初予算案に名古屋城天守閣の整備として3億3807万4000円が計上されています。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137857/3kanbun.pdf今回発見された内堀底の石列の問題だけでなく、いまだに新たな基礎構造の議論もされていません。
(2021年2月末までに、「調整会議」は開催されずと確認済)
その他課題は山積みです。
市議会はここで意地を見せるかどうか。市議会も市民も試されています。

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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
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