21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)がZoomウェビナーで開催されました。
録音・録画はあいさつまでしか許可されませんでした。
また、委員、事務局とも、ところどころ音声が途切れ途切れでした。
21/2/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)
・会議次第【石垣埋文部会(第40回)】
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212.pdf・資料1 本丸搦手馬出の修復について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-1.pdf・資料2 天守台ボーリング調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-2.pdf・資料3 大天守北面レーダー探査結果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-3.pdf・資料4-1~8 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-1-8.pdf・資料4-9 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-9.pdf・資料5 穴蔵石垣の調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-5.pdf・資料6 西之丸蔵跡追加調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-6.pdf・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-0.pdf 議題として、まず天守台石垣ボーリング調査があげられました。
名古屋市は「木造天守建築のため、工学的解析をするには地盤情報が必要で、天守台石垣ボーリング調査をしたい。この調査は石垣保全方針策定にも役に立つ」と説明しました。
赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。『復元天守の実施設計に必要な調査を、無理矢理石垣保全を理由にすり替えることは慎むべき』と話し合ったことが記憶にある。非公式なので議事録なんかないと思うが。ボーリングは慎重には慎重を期してやる必要がある。私は、決して石垣保全のために行うことを前面に出すような調査ではないと認識している。」としました。
名古屋城総合事務所の荒井主幹は「木造天守の構造解析も当然使えるし、石垣の構造解析にも使いたい。ケーソンがある場合とない場合の比較が可能。」としました。
千田嘉博・奈良大学教授は「名古屋市の資料の作り方がなっていないため叱りたい。どういう手順で委員会や市民、文化庁に説明していくかプロセスが全然理解できていない。
名古屋城の本質的価値は石垣。石垣を保全するためにデータを取りたいと最初に述べること。
次に名古屋市は現天守を解体して木造天守に建て替える計画を持っていて、文化庁とも相談していて、『その際はボーリング等を行い、地盤データを取りなさい』と指導を得ているためこのような計画を立てた、と書類を書かないといけない。
なぜそれがわからない。何年も前進できない理由は何か。
会議のかけ方がわかっていないから、赤羽先生のように鋭いところを突かれて、うまく答えられないことが起こる。」としました。
続いて、本丸内堀発掘調査成果について名古屋市から報告がありました。
内堀にトレンチを入れたところ、こぶし大の礫が密集し、大き目の石材がある面をそろえて並んでいる石列が検出された」としました。
オブザーバーの、中井将胤・文化庁文化資源活用課文化財調査官は「どこまで調査するのが妥当か検討して欲しい。天守台石垣、御深井丸側石垣にどうすりついているか、どう影響があるかは調べるべき」としました。
千田教授は「今回の調査で重要なことがわかった。従来は『空堀の底』として、現天守解体・木造再建時には空堀を埋め立てて上に重機を載せる計画だったが、完全に危うくなった。空堀の保全に万全の対策をしないといけない。足場を作るのなら、この石列がなにかはっきりしないと、どれだけの保全策をとるか判断しがたい。範囲や性格をつかむまで調査すべき。かなり大事な発見なので、市民や報道機関に公開することも必要。」と述べました。
宮武正登・佐賀大学教授は「新しく検出された遺構に目が行くが、攪乱、残滓が放り込まれているところをほおっておいては困る。不安定な状態で御深井丸石垣がのっているのか。安定策を採るため調査すべき」としました。
議題の「穴蔵石垣の調査成果について」は、時間が無いため読んでおいて下さい、になりました。
報告として、「西之丸蔵跡追加調査について」が報告されました。
宮武教授は「名古屋城総合事務所は『21/2/9の全体整備検討会議で承認された』とするが、埋蔵文化財部会としては、報告議題ではなく、試掘についても審査すべきだ」としました。
千田教授は「何目的であっても、まず部会の審議を経て全体会議を行う。名古屋城のようなやり方は他の全国の特別史跡ではない。根本的なことが出来ていない。西之丸の平面表示は、石列毀損事故がなければ今頃完成していた。学術的な根拠がなく表示していたことになる。同じ事故が起こるし、整備したものがいいかげんなものになる。一つ一つ手順を踏むしかない。何も反省していない」としました。
宮武教授は「設計後にもし一石でも出た場合、設計変更になり余計ややこしい」としました。
千田教授は「特別史跡内の発掘調査については、整備目途であれ開発目途であれ、石垣・埋蔵文化財部会の議論を経る、と座長から確認して欲しい」としました。
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今回の石垣・埋蔵文化財部会を見ていると、千田教授のおっしゃるとおり名古屋市は「まず天守復元ありき、開発ありき」であって、市民・文化庁への説明をないがしろにしています。
それどころか、内堀下の新たな石列発見で、現天守解体・木造復元計画を根本から見直す必要に迫られています。
名古屋市は市民に現状を説明した上で、今後どうするか具体的に説明すべきです。


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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm