20/3/11に名古屋市議会教育子ども委員会が開かれました。
20/3/11 名古屋市議会教育子ども委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200311-1.pdf名古屋市が名古屋城重要文化財等展示収蔵施設の外構工事の際、遺構の石列を毀損したことについて、20/3/10経済水道委員会に引き続き教育子ども委員会でも審議がされました。
伊神邦彦市議(自民・千種区)は、文化財保護法196条に違反した場合、5年以下の懲役若しくは禁錮 又は三十万円以下の罰金。同法196条の2、所有者の場合は二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金若しくは科料となるが、誰が払うのかと質問しました。
市教育委員会の片岡文化財保護室長は「今回の石列があった土地は名古屋市所有の土地。名古屋市が文化庁に現状変更許可申請をした。
所有者あるいは管理団体が自ら大きく毀損して裁判になった事例は把握していない。罰則規定がどのように適用されるかはっきりわかりかねる」としました。
伊神市議は「前代未聞のことを起こした。国民の宝を守るのは文化財保護室。文化庁に行った際にどのような指摘を受けたのか」と質問し、片岡室長は、文化庁では文化財第二課長、課長補佐、主任文化財調査官2名が対応したとして、以下読み上げました。
大きな問題である。名古屋市がこの掘削計画で立ちあいがいらないという判断をしたのは、遺構保存の認識は甘いと言わざるを得ない。現状変更許可申請書には重機と人力の併用とあるが、学芸員が立ち会っていないと判断ができない。副申における教育委員会の判断も甘いということになる。
今後の名古屋市の計画においても本当にできるのかと思われる。
この先どうするかをよく考え、再発防止策を立てること。
毀損届を出してもらって判断することになるが、徹底した再発防止策が求められる。
外構工事は取りやめて、どう毀損したのか、現地の状況を、きちんと把握をする。
原因自体を究明しないといけない。どうしてこうなったのかも、事実を分析する。
さらに検証発掘をする。どう調査するのか、専門家とよく相談し、現場を見てもらって指導を仰ぐ。その上で、毀損した箇所をどう修復するかについて、有識者を交えて検討する。
再発防止策、組織体制の問題を検討する。
具体的な仕組みとして示していただく必要がある。
展示収蔵施設の外構をどうするかは、これらの一定のめどがたってから。
伊神市議の「今回文化庁で文化財第二課長が対応するというのは知っていたのか」という質問に対し、片岡室長は「現在の文化財第二課長に会ったのは初めて。文化庁に赴くと第二課長がいて、『非常に異例、重大な案件であるので課長も出席をさせていただく』と言われた」としました。
伊神市議は「3/2午後に事件が起きて、3/5夕方に市議に報告があった。何を隠ぺいしていたのか。時間稼ぎをしていたのではないのか。」としましたが、生涯学習部長は「隠ぺいは全く考えていなかった。大変な事態を起こしてしまい、情報収集をまとめ切れていなかったため遅れてしまった」としました。
伊神市議は「文化庁は埋蔵文化財の担当学芸員が立ち会うよう条件を付けていた。文化財保護法第197条の許可の条件に従わなかった。二重三重に法律違反を犯しながら工事を進めた」としました。
さらに、伊神市議は「文化庁が言った、『今後の名古屋市の計画においても、本当にできるのかと思われる』というのは、20/3/10に行われた経済水道委員会で、名古屋城の職員は『天守閣の木造復元も含まれる』と認識を示した。教育委員会の見解は」としたところ、片岡室長は「名古屋城木造天守閣の復元事業も含んで、文化庁がコメントしたと受け止めている」としました。
伊神市議は「当分の間は、天守閣の木造復元も止まると考えていいのか」としたところ、片岡室長は「観光文化交流局の所管なので、進捗とかスケジュールは申しにくいが、今この状況で次のことを考えるというような状況にはないと認識している」としました。
伊神市議は「文化庁は、『遺構保存の認識が甘いと言わざるを得ない』と観光文化交流局ではなく、文化財保護室に対して、意見を述べている。観光文化が表にあり、人を入れたい観光をやりたいから、緩い条件で発注してしまう。文化財保護より観光に力が入っている。こういうことを許している名古屋市がおかしい。」としました。
さらに、伊神市議は「大阪城は築80年で登録有形文化財になっている。名古屋城は築60年で、民間が3分の1を集めたまさに市民の文化だ。聞いたところによると、文化庁は現在の名古屋城天守閣を登録有形文化財に指定してくれともっていくと、文化財に指定しますという。なぜ登録しないのか」と質問しました。
片岡室長は「登録有形文化財にしたいかは所有者の意向が基本にある。名古屋市は木造復元という取り組みがあるので、なかなかそういう話しにならない」としました。
伊神市議は「市民の財産、宝なので、登録有形文化財にすべきで、保護しながら、建て替えるのであれば文化庁と打合せをしてやっていくべきだと私は思う」としました。
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名古屋城天守閣木造復元事業は、これまでも実現のめどは全く立っていませんでしたが、今回の石列毀損によりさらにめどが立たなくなりました。
今回の伊神市議の「現天守閣を登録有形文化財に指定すべき」というのは、これまでの市議会の議論では聞いたことがない踏み込んだ意見です。
しかし、非常に現実的な案ではないでしょうか。
無理筋を無理矢理推し進めてきた河村市長・名古屋城総合事務所のやり方が、今回の石列毀損につながったと思います。
さらなる犠牲を出さないためにも、一刻も早く方向転換すべきではないでしょうか。
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm