名古屋城木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の第5回弁論が20/2/6に名古屋地裁1102号法廷で行われました。
非公開文書
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf 名古屋市は著名人の情報部分だけ公開してきましたが、現時点で67カ所がいまだに非公開です。
それぞれについて、名古屋市は情報公開条例のどの条文で非公開にするのか、情報の概括的内容、性質、弊害の具体的内容を一覧表にし、原告がそれぞれ反論しています。
今回は、情報公開条例7条1項4号について議論になりました。
・4号Aの弊害 4号Aにより非公開とした情報が公開されると,議論・検討の意見交換に加わる文化庁と名古屋市の職員が,いわれなき非難を避けようとしたり,各々の立場等に拘束されたりすることで,多様かつ自由な意見が現れなくなり,円滑な議論・検討が損なわれ、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがある。
・4号Bの弊害 4号Bにより非公開とした情報が公開されると,確定していない中間的な議論・検討の段階において,外部からの干渉,圧力等を受けることにより,意思決定の中立性が不当に損なわれ,適切な意思決定ができなくなるおそれがある。
・4号Cの弊害 4号Cにより非公開とした情報が公開されると,現時点では未確定の段階の情報が,市民の間で認知されることで,意思決定されていない未確定な情報が,確定したものとして誤解され、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれがある。
原告の名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は以下主張しました。
(1)中間的な検討・意見交換の内容であり、「未確定の情報」であることは明らか。未確定な情報が確定したものと誤解される可能性すらない。
(2)「仕事」なので、意見交換の内容が公開されても、文化庁職員が名古屋市長に意見を言えなくなったり、名古屋市長が文化庁職員に意見を言えなくなる理由はない。
被告の名古屋市代理人弁護士は4号Cについて以下主張しました。
(1)未確定な情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
(2)未だ解決すべき課題等があり、議論の途上である内容であるにも関わらず、未確定な情報が殊更曲解・糾弾され、市民の間に混乱が生じる懸念がある。
裁判官は、名古屋市の主張について、「未確定と文書に記載していれば、それが出回っても未確定ではないか」と質問しましたが、市は「未確定と記載されていても、ほぼ既定路線と受け止められることがある」としました。
裁判官は「文書に未確定と記載している場合と、文書に未確定と記載していても文書を離れて確定と取られる場合は、議論のテーマが違う」としました。
新海弁護士は「この部分は『確定』と読める部分、この部分は『確定』だが使い道次第、と分類できるのでは」、としました。
市は「解釈によっては確定しているのではないかとする人がいる。私の理解では、例えば柱が約1000本必要だとする未確定な情報が記載されていた場合、『少なくとも800本は必要だ』という推測は成立するのでは」としました。
また、新海弁護士は「過去の判例だと、評価の部分と事実関係の部分に分けて判断したことがある。それぞれおそれの立証が足りないのではないか」としました。
裁判所も「市の主張について、本数などの数字なら主張がわかったが、それ以外について、情報の種類や性質について、主張を補充するのかどうか。」としました。
さらに、文化庁と石垣部会のやり取りについて、市は「やりとりの個人の氏名と発言を公開すると、やり取りを部分的にとらえ、反対の立場を後押ししたり、推進側が有利になったりする。審議委員はけしからんと個人攻撃がされ、表だって意見をいうことがなくなるおそれがある」としました。
新海弁護士は「今回、文化庁から名古屋市が呼ばれて話しをしに行っている。たくさん発言があるわけではなく、テープ起こしを公開するわけでもない。だれが発言したかわからない」としました。
市は「それは認識が全然違う」としました。
また、関連チェックリストについて、市は「建築基準法、消防法について、それぞれの条文ごとに、『復元の手続に関わる項目』、『建築基準法の適用除外が認められない場合に関わる項目』、「復元天守が適合しない項目(防火・避難)』、『復元天守が適合しない項目(その他)』に色分けしてある。
さらに、それぞれの条文ごとに『今回の建物に考えられる条件』、『必要処置』、『備考』を記載してある。
今回、条文については、色塗りを外した形で書証として提出した。『条件』等は引き続き黒塗りにした。」としました。
(元資料 471ページ~474ページ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf
その他、名古屋市は情報公開条例7条1項2号(ノウハウ等)、3号(公共の安全と秩序の維持)についても主張しました。
今後、市は4号関係の主張をし、原告側は2号3号の反論を行うことになりました。
次回は20/5/20(水)13:30- 名古屋地裁1102号法廷で行います。
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm