奈良県市民オンブズマン連絡会議が、H25-26年度に奈良県議に支給された政務活動費の返還を求めた住民訴訟で、大阪高裁は20/1/17に1審奈良地裁敗訴判決を見直し、2,632,175円の返還命令を出しました。
https://www.ombudsman.jp/data/200117.pdf奈良地裁は「原告らにおいて、当該支出が違法ないし不当であると主張立証しなければならない」として19/1/31に原告敗訴判決を出しました。
https://www.ombudsman.jp/data/190131.pdf大阪高裁は、「県議会が定めた手引きに添わない政務活動費の支出は、原則として、本件使途に適合しない支出である疑いがあるものとして取り扱うのが相当」としました。
その上で、以下判断しました。
調査研究を業務委託された会社ならびに議員が「成果物」として保存しているものならびに関係書類が存在せず、手引きに反するものの、使途基準に当たらないとはいえないから違法なものと評価することはできないとしました。
また、議員と自宅、経営会社、議員事務所、後援会事務所、政党支部が同一の場所にあり、電話番号やファックス番号が供用されていた政務活動事務所の賃借料及び駐車場賃借料の支出については、2分の1の範囲で使途基準に反する違法なものというべきとしました。
議員長男が代表取締役を務める有限会社が保有するデイサービスセンターの一部を調査研究活動のための事務所として借りていた(介護保険法等によって義務づけられる県知事への届け出を怠っていた)件については、2分の1の範囲で使途基準に反する違法なものというべきとしました。
さらに、事務所後援会と連名の封筒で有権者に送付された広報紙ならびに郵送料については、議員の意見、政策及び活動内容やプロフィール等が紹介されており、後援会活動や選挙に向けての準備活動が外形上明らかな本件のような場合には、2分の1の範囲で使途基準に反する違法なものというべきとしました。
新聞代は手引きに違反するものとはいえないとしました。
年会費については、団体の性格及び活動内容や当該団体と議員の活動との関係等に照らしてその支出が必要かつ有用な政務活動費の支出に当たらないことに対して知事や議員による的確な反証がされていないものは、使途基準に反するものと認めるのが相当としました。
また、町村会・町村議会議長会への合同会議会費について、県議が構成員として参加しているかどうかは判然としない上、そもそも合同会議が研修の場であるとは一概に判断することが困難であるから、使途基準に違反するというべきとしました。

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・全国市民オンブズマン連絡会議 政務活動費ページ
https://www.ombudsman.jp/seimu -------
20/1/18(土) 6:59配信 関西テレビ
奈良県議の政活費支出の一部「違法」認める 大阪高裁判決
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200118-06594413-kantelev-l29毎日新聞2020年1月21日 地方版
政活費不正 知事に返還請求命じる 13、14年度4県議260万円 高裁 /奈良
https://mainichi.jp/articles/20200121/ddl/k29/040/372000c2020年01月20日 14時27分 NHK
県議政務活動費一部返還命じる
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20200120/2050003663.html