NPO法人 情報公開市民センターが、2009年9月-12月、2010年1-4,6-7,10,12月、2011年1-3月の外務省在米大使館報償費の支出計算書等一部不開示決定に対する異議申し立てをした件で、情報公開・個人情報保護審査会は20/1/22に不開示妥当の答申を出しました。
http://www.jkcc.gr.jp/data/200122.pdf本件に先立ち、2008年1月31日付け東京高裁の判決があり、それに基づく開示を求めた異議申し立てでした。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=36701・判決に基づく開示文書
http://www.jkcc.gr.jp/katsudo/2009/KimitsuhiShisyutsu.pdf 東京高裁は、報償費の「直接接触」に係る支出関係文書について、秘匿性のない情報として、「支払予定日」「支払日」「支払予定額」「支払額」の開示を認めました。
しかし、「支出計算書」の支払金額を不開示にし、「決裁書」を不開示処分にしました。
外務省は、異議申立から約7年4ヶ月~約8年6ヶ月経過した2018/12/11に情報公開・個人情報保護審査会に諮問し受理されました。
http://www.jkcc.gr.jp/data/190108.pdfhttp://www.jkcc.gr.jp/data/190108-1.pdf審査会は内容を見分した上で以下答申をだしました。
・2008年1月31日東京高裁判決(確定)と、2009年4月28日仙台高裁判決(確定)の結論は異なる。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=38127・内閣官房報償費に関する2018年1月19日最高裁判決があり、参考となり得る。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87396・支出済一覧表中の報償費に係る債主及び金額欄は、公にすることにより、その当時の国際情勢や
国際的な問題等に関する情報,資料等と照合し,分析することなどを通じて,報償費の個別具体的な使途や我が国の情報関心等が推察される結果,情報収集活動等が困難になるなど,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があると認められるので,不開示が妥当
・項目名及び科目名を除く部分、支出済総額については、公にすることとなれば,月ごとの報償費の支出金額の推移を容易に推測することが可能となるほか,当該推移を他の情報等と照合するなどして報償費の個別具体的な使途や我が国の情報関心等が推察されることを回避するため,処分庁が報償費の支払時期を調整することを余儀なくされるなど,本来機動的に使用する経費である報償費に係る処分庁の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるので,不開示が妥当
・支出済一覧表中の支払方法等欄及び摘要欄については、公に
することにより,支払先の口座情報等が明らかとなるなど,報償費を含む外務省の支出負担行為の事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるため不開示が妥当
・決裁書等一式は、会合の相手方が特定され,又は他の情報等と照合することなどにより,我が国の情報関心等が推察され,我が国が情報収集や非公式の外交交渉等を行うことが困難となり,他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があると認められるので,不開示が妥当
なお、審査会は以下付言をつけました。
・本件諮問は,原処分1ないし原処分11については,各異議申立て後,約7年4か月ないし約8年6か月が経過してから行われている。また,原処分12については,異議申立て後,異議申立人が開示すべきとする不開示部分の一部を開示する旨の変更決定を行うまでに約7年1か月が経過しており,その約1年8か月後に諮問が行われている。
この点につき,当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ,諮問庁から,法施行後,本件を含め短期間に大量の情報公開請求が外務省に対して行われ,その後の開示決定に対し多くの異議申立てがあり,審査会に対し案件ごとに調査・検討の上,順次諮問を行ってきたため,また,原処分及び本件異議申立ての後に上記仙台高裁判決が確定し,その内容等を精査する必要があったため,時間を要したとの説明があった。
しかしながら,本件異議申立ての趣旨及び理由に照らしても,諮問を行うまでにこれほどまでの長期間を要するものとは到底考え難く,本件諮問は,遅きに失したといわざるを得ない。
このような対応は,「簡易迅速な手続」による処理とはいえず,行政不服審査制度の存在意義を否定しかねない極めて不適切なものである。諮問庁においては,今後,開示決定等に対する不服申立事件における処理に当たって,迅速かつ的確な対応が強く望まれる。
・原処分に係る各開示決定通知書において,いずれも文書1につき複数の不開示理由が提示されているが,いずれの部分がそれぞれの理由番号に該当するのかが明確とはいい難く,求められる理由の提示として十分とはいえない。これは,慎重さに欠ける不適切な対応であったといわざるを得ず,処分庁は,今後の対応において,上記の点につき留意すべきである。

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NPO法人 情報公開市民センター 外務省報償費訴訟は今
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