名古屋城木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の第4回弁論が19/11/28に名古屋地裁1102号法廷で行われました。
非公開文書
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-1-1.pdf http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf現時点で68カ所がいまだに非公開です。
それぞれについて、名古屋市は情報公開条例のどの条文で非公開にするのか、情報の概括的内容、性質、弊害の具体的内容を一覧表にし、原告がそれぞれ反論しています。
原告名古屋市民オンブズマンは準備書面(1)で以下主張しました。。
・市長が発言を引用した「著名人」であることが窺われ、「通常人に知られたくない情報」には該当しない
・「昭和実測図及び野帳・調書」に記載された木材の本数等は、公開することでなぜ「木材の価格が高騰する」かを社会通念上理解することすら出来ない。
それがなぜ「株式会社竹中工務店」の利益を害するかも不明。
・市は「引用文献・図面等、文献資料、現存する遺物」も「それらに関する同社の独自に有するノウハウが流出する」とするが、どのような市場でどのような不利益を被るのかの説明すら行われていない。
・市は「各部の復元検討した図面等」を公開されると購入すべき木材に関する情報の流出により価格高騰すると主張するが、因果関係の主張もなされていない。
・市は「防災避難計画の考え方」、「具体的には防災拠点の所在地等」を公開すると、「名古屋城木造天守閣への放火等を機とする人物に対し、犯罪実現の妨げとなる設備の所在地を示すことになり、当該人物による犯罪の予防、観覧者の生命又は身体の保護に支障をおよぼすおそれがある」と主張するが、防災・避難計画は社会通念上公にされるべき情報のはず
名古屋市側代理人弁護士は、準備書面(3)で以下主張しました。
・高度な政治的判断を伴う事業であり、設計及び施行において、文化財保護への専門的な知見と高度な技術が求められる事業である。
・現状変更許可を受けることが必要な本件事業の実施に当たっては、専門的な知見を持つ文化庁との意見交換が必要不可欠
・職員同士による意見交換は、多様かつ自由な意見が現れ、円滑な議論・検討が行われるよう、非公開を前提として実施されている
・本券事業の実施自体に賛否両論あり、市民から非常に高い関心を向けられている。
意見交換における関係者の意見や具体的な発言について、ある意見を述べたために、それとは反対の意見を持つ者から、いわれなき非難を浴びたり、あるいは、参考意見にすぎないのに種々の誤解が生ずることが予測される。そうすると、現に非難や誤解があったか否かにかかわらず、意見交換をする関係者が、このような非難や誤解を恐れたり、各々の立場に拘束されたりするなどして、率直な意見を述べなくなるおそれがある。
・文化庁と名古屋市との意見交換は、多様かつ自由な意見が現れ、円滑な議論・検討が行われる必要があるため、非公開を前提として実施されている。このような非公開の場では、公開しない前提での意見が含まれているところ、名古屋市がそのような情報を無条件に公開すると、文化庁との信頼関係を損なうこととなり、また、将来行われるであろう同様の意見交換においては、公開されることを前提とした硬直的かつ形式的な議論しか展開されないなどの事態が予測される。
・様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断及び文化庁の専門的な知見が必要不可欠であり、外部から一定の特定の事情に基づいて圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の過程が歪められることがないようにする必要がある。
・文化庁と名古屋市の間で交わされた発言ややり取りされた文書が公になると、議論の最中であるなど未成熟な内容であるにもかかわらず、市民の間に当該情報が文化庁や名古屋市の最終的な決定であるなどの無用な誤解や憶測を招き、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれがある。
原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「名古屋市は氏名が思想信条に該当すると主張しているようだが、名古屋市条例は個人識別型になっていない。
さらに、本件は火薬庫ではなく、防災計画や避難経路は公にしないと危険である。
また、「河村市長は黒塗り部分について、『特別秘書に説明させる』と非公式の場で言った」としました。
名古屋市代理人弁護士は「書面で返答する。市長はでたがりだから」としました。
裁判長は「『関係法規チェックリスト』が中間的な内容、とはどういうことか」と質問しましたが、名古屋市代理人弁護士は、傍聴していた市職員に話しを聞きに行き、「本当に必要な法令は未確定だから」としました。
また、裁判長は「市長が世論について言及した部分を非公開にしているが、世論は公ではないのか?」と質問し、名古屋市代理人弁護士は「確認する」としました。
さらに、裁判長は「発言が公になると、賛成反対で混乱が生じるとするが、空中戦にならないようにしてほしい」としました。
名古屋市代理人弁護士は「市内部だけでなく、竹中工務店と協議をした上で反論する」としました。
裁判長は「事業計画について、計画や日程、費用の検討過程が明らかになることについて、項目ごとに違いがあるのか?」と質問しました。
名古屋市代理人弁護士は「この時期にこれを確定していないといけないはずなのに、文化庁との協議が煮詰まっていないため誤解を招くおそれがある。各項目によって違いがある」としました。
次回弁論は20/2/6(木)13時半~ 名古屋地裁1102号法廷です。

----------
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm