19/1/17に熱田区役所講堂で開催された名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で、名古屋市と基本協定を結んでいる竹中工務店は、「名古屋市が木造復元をめぐって文化庁を訪問した際に、名古屋市が作成した議事録は確認していない」ことを認めました。
・当日配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf・名古屋市民オンブズマンによる質問とやり取り 文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117-1.pdf ・会場からの質問と回答 概要
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117-2.pdf250席の会場で、本日参加したのは関係者を除くと38名だったとのこと。(説明会終了後の河村市長ぶら下がり記者会見中、記者からの質問より)
名古屋市は、これまでの経緯を説明しましたが、どうして2018年10月の文化審議会の許可が出なかったのかについては「有識者の方から天守台石垣の保存に対する対応が不十分だったというふうに言われておりまして、10月の諮問には至らなかったというような状況でございます。」としか述べませんでした。また今後のスケジュール案も示しませんでした。
竹中工務店は、「史実」をいかに掘り起こしているか、また資料に記載がない部分については、有識者と協議して進めていく、としか説明しませんでした。
会場からは、現在の名古屋城を壊して、できるかどうかもわからない木造天守閣に邁進する姿勢に対して疑問の声が多くあがりました。
しかし、質問希望者が大勢手をあげていたにもかかわらず、司会は「時間が限られている」として7名しか当てず、強制的に終了させました。
そんな中、名古屋市民オンブズマンの内田は、そもそもの説明会の意義と資料の不十分さについて、黒塗り資料を見せながら質問しました。
1)どうして去年10月に文化庁の文化審議会の許可が得られなかったのか。
2)どこが問題になっているのか
3)どう解決するつもりか
4)スケジュールはどうするのか
を説明しなければ意味が無い。
特に、石垣部会が指摘している、「現石垣を破壊するおそれがある『はね出し架構』」について説明しないと全く意味がない。
名古屋市は文化庁を複数回訪問しているが、内容は市民にも市議にも黒塗り。
以下2点質問する。
・竹中工務店に対して
名古屋市が文化庁訪問時に名古屋市作成した議事録について、中身は見たか。中身を見た場合、どのような中身で、どのような感想か。
特に「はね出し架構」について文化庁はなんと言っていて、どうお考えか。
・名古屋市に対して
現時点で、文化庁を訪問した際の議事録を公開するおつもりはあるか。ないというなら、公開しない理由と、これまで市民に説明していないこと、今回の説明会でも説明できないというのはなにが書かれているのか。
竹中工務店は「今の質問ですが、文化庁さんに対しての名古屋市さんが協議をした議事録、そういったものを竹中工務店は確認しているかというご質問ですけれども、確認はしておりません。」と回答し、会場全体から「えー」という声が上がりました。
続いて、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「今ご質問いただきましたが、情報公開していない書類につきましては、現在、文化庁とは事業の進捗、それから許可を受けるということに向けてですね、協議を行っている。そういう段階ということでございますので、今日の説明会は事業の進捗状況をご説明するということでご説明しておりますけれども、今のご指摘になった部分につきましては、まさに協議中という段階のものでございますので、現時点で公開することはできない。そういうふうに考えております。」としました。
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2018年10月に文化庁復元検討委員会の許可をめざして、名古屋市長・名古屋市職員が複数回文化庁を訪問してきました。
しかしながら、文化庁から様々な指摘を受けたようで、文化庁は基本計画書の受け取りを拒否しました。
名古屋市と文化庁とのやり取りは、職員による「議事録」に記載されていますが、内容は一切非公開です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181221.pdf
市長直筆のメモは、当初は黒塗りでしたが、「すでに市長が公の場において発言した内容だ」として公開されました。
・当初開示された市長のメモ(黒塗り)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf・開示された市長メモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf
名古屋市と基本協定を結んだ竹中工務店は、当然名古屋市の上記「議事録」を確認した上で、今後の進捗について協議しているものだと推測していましたが、今回の発言で正反対だったことが判明しました。
名古屋市が、市民や議会に議事録の内容を公開しないのと、基本協定を結んだ上で、基本設計・実施設計・木材調達の契約を名古屋市と結んでいる竹中工務店に公開しないのとは全く意味が異なります。
名古屋市は木造復元事業を進めるつもりが本当にあるのか?
名古屋市と竹中工務店の関係がすでに決裂しているのではないかとも思えます。
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今後も市民向け説明会・シンポが開催されます。ぜひご参加下さい。
【市民向け説明会】
・1/19(土)14時~(中区役所ホール)
・1/22(火)18時半~(瑞穂文化小劇場)
・1/23(水)18時半~(緑文化小劇場)
・1/25(金)18時半~ (東文化小劇場)
【シンポジウム】
・1/27(日)14時~ 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
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