名古屋市民オンブズマンは、半田晃士・元愛知県議に支給された政務活動費のうち、個人への委託料938万円とオーストラリア視察代約30万円の返還を求める住民訴訟は、半田氏と大口委託先のAさんの証人尋問で大詰めを迎えました。
委託は「カラ」ではないか?
証人尋問で、半田氏は報告がなされて、報告書を受け取るときにお金を支払ったと述べました。
しかし、書式が同一であること、報道では「成果物が確認出来なかった」とされたことから、少なくとも作成日が平成26年7月より前と記載されている3報告書は、作成日とされる日には作られていなかったことになります。
「カラ」でなくても調査とは言えないことに高額委託料
仮に調査がカラ支出でなかったとしても、調査研究委託書に記載されている「報告会」は、ホテルの喫茶店で半田元県議とAさんが1回3時間から5時間、コンピューターを見ながら複数回説明したというだけで、証拠もありません。これを「調査」とはとても言えませんし、多額の委託料を支払うことは許されません。
原告側は、報告書はマスコミが騒いだ後で大急ぎで作ったのではないかとみています。
「ネットのコピペ」ではなく「二次データの信憑性を確認した」と主張
Aさんは、報告書を作成する際にネットを利用したことは認めました。ただし、現地に行って情報収集しインタビューをしたものを「一次データ」、ネット上の情報や書物を一字一句信憑性を確認したものを「二次データ」と呼び、その確認にものすごい時間をかけたと主張しています。
提出された報告書は、どこが引用部分かが明確になっていないではないか、と原告代理人の新海聡弁護士が質問しましたが、「発注した印刷所が間違えた」というだけで、完成版はどこにあるのか、現在裁判所で証拠とされているものと同じかは明確にしませんでした。
半田氏も証人尋問の中で「ウィキペディアの引用かどうか調べる気は全くない。あったとしても、使ってもいいと言っている」としました。
「東日本大震災被災地調査」の真の目的は?
Aさんは、被災地に入ってボランティア活動をしたいと考えニューヨークから帰国したと証言しました。被災地へは、ボランティア活動と調査を兼ねて行ったことを認めています。被災地では、宿泊費や交通費が高くなっていたことを強調して、多額の委託料を受け取ったことを正当化しています。
しかし、報告書の内容はほとんどネット上の情報であり、被災地に行かなくても作成可能なものばかりです。また、僅かにある被災地での直接の見聞内容を見ても、被災者の困りごとを聞き出しそれをまとめているだけで、むしろボランティア活動の記録というべきものです。
したがって、宿泊費・交通費等は、調査のためではなくボランティア活動のための費用とみるほかありません。
「ヨーロッパ現地調査」の目的は?
ヨーロッパ現地調査についても、Aさんは別の仕事もしていたと供述しています。同様に報告書の内容をみると多くはネット上の情報であり、現地に行かなくても可能です。
したがって、これも同様に調査委託に名を借りたヨーロッパでの活動への支援を行ったに過ぎないとみるほかありません。
11/14結審へ
18/11/14(水)13時半~、名古屋地裁で弁論がなされ、結審予定です。
提訴から3年。ぜひ判決を注目して下さい。