18/10/15河村たかし名古屋市長は定例会見で、これまで2022年12月完成を目指してきた名古屋城天守木造復元について、2018年10月文化庁文化審議会の了承を断念すると述べ、上記までの完成が極めて厳しくなっており、工程案の見直しも具体的に進んでいませんが、依然として「期限を死守する」としています。
平成30年10月15日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=6XCetVz5Mw8名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181015.pdf河村市長まとめ
・10月文化審議会には間に合わなかった。
・文石協(文化財石垣保存協議会)の専門家から石垣保全についてアドバイスを受けるよう、石垣部会に言われた
・文化庁 誰とは言わないが、「国宝第1号なので丁寧にやっていかないといけないと言っている」
・2022年12月期限は死守する

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しかし、文石協との交渉もこれからです。
http://bunsekikyou.sakura.ne.jp/各種報道によれば、石垣部会の懸念は2点だと理解しました。
1)天守閣木造化よりまず天守台石垣の保全・修復を
2)木造天守閣の基礎となる「はね出し架構」は文化財を破壊するため認めない
1)については、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することは考えられます。
ただ、相談後すぐに天守台石垣の保全・修復をするとなると、名古屋市が計画している「まず木造天守閣を復元し、その後石垣保全・修復」に反します。
2)については、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することではなく、竹中工務店と相談することではないでしょうか。
耐震性を高めた木造天守閣をつくるために、文化財を破壊する「はね出し架構」以外の工法が果たして取り得るのか。
「はね出し架構」しか採用できないのであれば、石垣部会は当然木造天守閣復元を認めないでしょうし、文化庁も認めるはずがありません。
また、河村市長のいつものやりかた「名前を決して明かさない誰かが、自分に都合のよいことを言った」がありました。
河村:文化庁だって言っています。「遅らせるつもりはありません」って。直接電話ですけど。
行く時間が無いもんで。誰とはちょっと言いにくいけど偉い様が断言しております。
スケジュールありきどうのこうのいうのではない。
善意に解釈すれば文化庁は「わざと遅らせるつもりはありません。石垣部会の了承を得た上で、書類を復元検討委員会に提出後、文化審議会にかけられれば検討します」と言うことだと思います。
河村市長は自分の都合のよい部分だけ切り取って発言することがよくあります。文化庁も当然河村市長の会見を見ている、とは思わないようです。
名古屋市民オンブズマンは、電話の内容について即情報公開請求しました。
また、河村市長は「竹中工務店は、市議会が予算を議決を行ったため、200本ほどの製材に入っているという話し」と述べました。
名古屋市は、竹中工務店とは、これまで10月に文化庁の許可が得られなかった場合の話しは一切していないとしていましたが、河村市長は「相談するしかしょうが無い。工期の短縮などできんのか。聞いてみんとわからん。勝手に言うわけいかない』としながらも、工期について死守すると述べたことについては「そりゃできるわ やってもらわんといかん。そういうもんじゃないですか。民意はどうなるのか」と述べるなど、自分の希望・主張を一方的に述べるにとどまっています。
2018年10月文化庁の許可取得を断念するに当たり、河村市長は「むかつく」と述べました。
石垣部会に対してか、と記者に聞かれたところ、「世の中といいますか」といい、手続を進められなかったのは名古屋市の責任ではないか、と聞かれると、
「どの責任というわけでもない。しょうがない 世界でただ一個のこういう建物を作るんだから。世界ではじめて 巨大な木造建築。かつての国宝1号。木造復元するんだから苦労はある。世の中の一つの流れ、名古屋の宝が世界の宝」など、自らの責任を全く認めようとしません。
なお、最後に「『むかつく』という発言は取り消して欲しい」と述べました。

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18/10/17朝日新聞によれば、市長の強気の姿勢を以下分析しています。
2018年10月17日03時00分 朝日新聞 関謙次
名古屋城天守木造化 月内の国許可断念「22年末完成」厳しく
河村市長 強気崩さず
https://www.asahi.com/articles/ASLBJ4S0ZLBJOIPE01D.html河村市長に近い関係者は「市長は腹の中では来年5月の許可も難しいとわかっていると思うが、市長選で公約に掲げたので、絶対に無理とは言わない」と話す。ある市職員も「自分のことを守らないといけないし、(代表を務める地域政党)減税日本も勝たせないといけない。統一地方選が終わるまでは、強気を続けるだろう」とみる。
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このまま市民に説明せず、希望的観測で物事を進めようとしても決してうまくいきません。
情報を公開し、市民に対するきちんとした説明ならびに関係者を一堂に会した話し合いを求めます。
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名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集
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