市民グループ「見張り番」は16/2/27に、各地で不正使用や目的外支出が問題となっている政務活動費について、全国各地の判例を入手・分析している、全国市民オンブズマン連絡会議事務局の内田隆氏を迎えて学習会を行い、35名の参加があり大盛況でした。
・政務活動費講演レジュメ
http://nagoya.ombudsman.jp/data/160227-1.pdf
・政務活動費配布資料
http://nagoya.ombudsman.jp/data/160227-2.pdf
・動画1
https://youtu.be/j9rnln91wTo
・動画2
https://youtu.be/0cCr50J2zoA
特に、2015/12/24に名古屋高裁で出された愛知県議政務調査費住民訴訟判決(原告側完全勝訴)でどうして勝訴したのかを説明しました。狙いを絞り、議員の陳述書を読み込んだことが勝因としました。
愛知県議会では、政務調査費条例制定時に、規程の項目に「事務費」はあるが「事務所費」を置かなかった。しかし、「事務費」の中で「事務所費」も「車リース料」も入れていた。
2011年3月23日 名古屋市議政務調査費判決では、「事務所費は事務費の支出対象としては想定していないものと解することが相当」とあり、愛知県議会でも使えるとして、「事務所費」「車リース料」のみに絞った。
1審名古屋地裁判決では、1/2支出以上はダメ 親族企業への支出はすべてダメ とした。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/140116.pdf
2審名古屋高裁では、議員側は積み上げると1メートルを超える陳述書を提出してきたが、その中で「口利き」の現状が生々しく綴られていた。
車リースにしても、町内会の祭りに出席するため、議員が保有する軽自動車ではなくクラウンマジェスタを借りた、と記載されていた。
原告側は膨大な陳述書を読み込み、「事務所費」「車リース料」支出と調査との関連性がないと述べた。
裁判長が交代し、条例制定時の経緯を提出したうえで「名古屋市議判決と、『県民の常識』を踏まえて判断する」と発言。
2審名古屋高裁では、・法律を超える条例制定はできない。・これまで「事務費」と「事務所費」は厳然と区別されてきた ・政務調査活動は通常必要が生ずる都度行うもの。その活動のみの事務所・車リースは想定し難い。・陳述書でも必要性を個別具体的に主張立証していない とし、全額返還命令がでた。
http://nagoya.ombudsman.jp/seimu/151224.pdf
現在県・会派は上告中。
ただ、2013年に政務調査費が「その他の活動」を許容する政務活動費に変わり、政務活動費として初の判決が16/2/10福井地裁で出て、完全に敗訴してしまいました。
裁判官の資質だけでなく、法律自体に問題があるのではないかと述べました。
・16/2/10 2013年度福井地裁政務活動費 全面敗訴 福井地裁
http://www.ombudsman.jp/data/160210.pdf
自宅の一室を事務所とし、水光熱費の1/3を事務所費で充当 「求釈明書」を一切拒否
判決「(議員の)自律的な判断に裁量の逸脱又は濫用があると認めるに足りる的確な証拠はない。」
制度が政務活動費に変わった現在、今後の追及方法として以下を提案しました。
・4年間議員発言と政務活動費の関係
・事後精算方式に
・口利きとのリンク
・透明度調査
質疑では、各地の現状がでて、活発な議論がなされました。
内田氏は「本来は議会を活性化させるための政務活動費のはず。不透明なため議員の政治活動のための既得権益になっている。
もっと透明化して議会が十分機能するようにしてほしい。」と述べました。

↑講演を行う、内田隆氏