11/3、愛知工業大学で「リニモを活かした地域づくり・地域交通のためのフォーラム 講演と懇談のつどい」が開催され、参加してきた。会場には100名を超える参加者にあふれ、一見活気があるように見えた。
県の担当者、リニモを運営する第3セクター「愛知高速交通株式会社」の担当者、そして大学の先生が順番に話していった。日本初常電動吸引型磁気浮上式リニアモーターカーである、東部丘陵線(リニモ)は、延長8.9Kmに998億円をかけ、愛知万博に間に合わせるように2005年3月に開業した。需要見込みは1日31,500人で、万博期間中は約106,000人(実績)と万博輸送には威力を発揮した。しかし、万博終了後の現在、9月26日から10月31日まで1日当たりの平均は11,000~12,000人と、見込みの1/3程度でしかない。
今後のリニモの活用を、特に「パークアンドライド」を用いてNPOとともに検討していこう、という企画のはじめの集まりであった。「パークアンドライド」とは、「交通の混雑する地区の周辺で、駐車場に車を停め、公共交通機関に乗り換えるシステム」のことであり、今回は「万博会場駅」北側に設置する駐車場(約40-50台分程度)に周辺地域からくる自家用車を止め、リニモを使って名古屋方面に通勤・通学してもらおうという計画である。
しかし、ちょっと考えれば分かるが、当初見込みと現在の実数の差は約2万人である。50台程度のパークアンドライドが仮にうまくいったとしても、微々たるものであり、やらないよりはまし、という程度である。
講師の大学の先生は、予測と実数の乖離を、そもそも地域の人のニーズからリニモが出来たわけではないため、と発言した。リニモをけなすことはいくらでも出来るが、「1,000億円の贈り物」と表現し、せっかくできたのだから活用する方法を地域の人とみんなで考えよう、と締めくくった。
会場に来た多くの参加者は、万博のボランティア経験者か、「万博の環境配慮の理念をいかにリニモに活かすか」などの発言が多かった。唯一、私が「将来の料金値上げの見通しは?」と質問し、「計画では5年で10%となっていますが、その通りになるかははっきりしません」と回答を受けた程度である。
奇しくも、11/3の中日新聞朝刊に、愛知県は小牧市にある新交通システム「桃花台線」が存続困難と判断し、年度内に結論を出す、との記事が載った。桃花台線は見込みが1日12,400人に対して約2,500人しか乗っておらず、累積赤字は64億円に上る。しかも、高架の撤去費用が100億円程度かかる見込みとか。学者や担当者を交えた「桃花台線のあり方研究会」が開かれ、磁気誘導式無人バスの導入が提言されたにもかかわらず、検討委の予測より数億円ふくらんだため、運賃が現在の倍程度にふくらむ見通しで、事実上存続は困難と判断したという。
リニモも桃花台線と同様の運命をたどるのではないか。元は海上の森に団地を造る計画で、その需要を見込んだリニモ計画であった。団地造成計画を断念した時点で、リニモ自体も抜本的見直しをすべきであった。今は、まず今後の需要の見通し、資金計画を積極的に情報公開し、学者、地域住民、行政、NPOらが「リニモのあり方研究会」を開き、今本当に住民がリニモを必要としているか、運行する場合の追加税負担はどの程度になるのか、廃止も含めた議論を今更ながらするべきではないか。桃花台線の二の舞は避けなければならない。
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東部丘陵線
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愛知県企画振興部交通対策課
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リニモを活かした地域づくり地域交通のためのフォーラム
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加藤博和(名古屋大学)
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桃花台新交通(株)
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桃花台線のあり方検討会
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