自治体の「塩漬け土地」問題を知っていますか。
自治体の外郭団体に「土地開発公社」というものがあります。自治体が土地開発公社
から買い戻すことを約束した上で、道路などの公共用地を自治体に代わって
先行取得したり、宅地造成などを行うものです。
自治体は、一定規模の土地を買う際は、議会の議決が必要なので、
自治体に今は予算が付かなくても、将来事業化する見込みの時点で、
自治体は土地開発公社に土地買収を依頼してきたのです。
この仕組みは土地の値段が右肩上がりの時、うまく機能したと言えます。
土地開発公社が土地の値段が安いときに買収し、利息分を余分に払っても、
土地上昇価格よりは割安になります。
しかし、バブル崩壊後、土地の値段が右肩下がりの時には、土地開発公社の
仕組みは百害あって一利なしです。
例)1億円の土地を先行取得、年利3%(単利計算)で、5年後買い戻す場合
☆土地が毎年5%ずつ値上がりしている場合
当初 1億円で購入 5年後 1億円+利子1500万円で買い戻す
実勢価格 1億円+2500万円=1億2500万円
差引 1000万円自治体が得をする計算
☆土地が毎年5%ずつ値下がりしている場合
当初 1億円で購入 5年後 1億円+利子1500万円で買い戻す
実勢価格 1億円-2500万円=7500万円
差引 4000万円自治体が損をする計算
帳簿上の価格と、実勢価格の差が大幅に開いてしまい、自治体もとりあえず問題解決を
先延ばししている状態、それが「塩漬け土地」です。
土地開発公社が5年以上保有している土地を「塩漬け土地」と呼んでいますが、
これが各自治体の財政を圧迫しているのです。
1999年、2000年ごろ、全国市民オンブズマンが全国の塩漬け土地について
調査を行い、名古屋市が全国で最も塩漬け土地の金利を多く支払っていたことが
分かりました。
1999年1年間に、名古屋市の利息だけで66億円。1日約1800万円もの
利息を支払っていたのです。
当時、名古屋市民オンブズマンは、名古屋市に対し、以下の申し入れをしました。
・利率が高すぎるので利率の入札を行って少しでも安くせよ
・塩漬け土地の各地番と購入価格、利息、補償額を明らかにせよ
・今後どう処分するか市民に明らかにせよ
利率の入札は行って、若干安くなったらしいです。
塩漬け土地の地番と購入価格、利息、補償額については、名古屋市民オンブズマンが
情報公開裁判を行い、2005年7月15日に最高裁で、建物の補償額
以外は全て公開せよとの判決がでました。
名古屋市民オンブズマンは、裁判の結果開示された、平成11年3月末の
保有土地の地番と、直近平成17年3月末の保有土地の地番とを比較してみました。
すると、平成11年から6年間全く売れていない地区がありました。
志段味(しだみ)にある「
なごやサイエンスパーク事業」。
名古屋市の中心部から遠く離れた場所に、研究施設を誘致しようとしましたが
ことごとく失敗。
上志段味、中志段味、下志段味地区がありますが、売れたのは下志段味地区の一部だけです。
上志段味+中志段味地区の公社の取得価格は153億円。平成17年3月末現在、
利息が80億円ついて、帳簿上は233億円になっています。
このような無策ぶりが6年にも及ぶ裁判でようやく明らかになりました。
名古屋市は、このような志段味サイエンスパークの状況を目の当たりにして、
今後どうするつもりなのか、直接担当者に聞きに行きたいと考えています。
また、名古屋市土地開発公社全体では、平成17年3月末現在、
取得価格が1190億円、利子が417億円ついて、帳簿上は1607億円にも
のぼっています。
塩漬け土地の問題は、名古屋市にとって重大な課題です。
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