名古屋市民オンブズマンが訴えてきた、名古屋市議会議員に支給する
「費用弁償」の住民訴訟が、2005/10/7付で最高裁で棄却され、
確定しました。オンブズマン側の敗訴です。
「費用弁償」とは、地方議会議員が、給料や政務調査費とは別に、
議会に行くだけで日ごとにもらえる費用のことです(地方自治法203条)。
名古屋市議は、かつては1日議会に行けば、15,000円の費用弁償が
もらえていました。
名古屋市議は月額101万円の報酬、月額55万円の政務調査費、
さらに市営地下鉄・バスの無料パスをもらっており、その上正副議長には
黒塗り公用車の送迎まであります。
これら公金支出に重ねて、「費用弁償」として交通費や通信費、資料作成費
などの名目で支給しているのは、税金の二重、三重、四重取りではないかと
指摘したものです。
各市議の自宅から市議会まで公共交通機関を使うと、往復平均700円弱となり、
あきらかに過大な支給となっておりました。
地方自治法203条では、「報酬、費用弁償及び期末手当の額並びに
その支給方法は、条例でこれを定めなければならない。」とありますが、
名古屋市の条例は、費用弁償の額は「市長が定める」こととなっており、
地方自治法違反の状態が続いていました。
名古屋市側が「日額15,000円とする」と条例を改正したことで、
違法状態であったことを名古屋市民オンブズマンが知り、住民監査請求・
住民訴訟を起こした次第です。
2002年3月 名古屋市議会が費用弁償条例改正 条例に額を明記
改正条例の適用は2002年4月から
2002年3月 名古屋市民オンブズマンが、2001年6月-11月分の
費用弁償総額4566万円を住民監査請求
2002年5月 住民監査請求が棄却される
2002年6月 住民訴訟 提訴
2002年9月 名古屋市長「さかのぼり適用の費用弁償条例改正案は
訴訟対策」発言
2002年10月 費用弁償条例が再改正される。2001年4月から
遡及適用となる
2002年11月 名古屋地裁判決 棄却
額が明記されていなかった時点では「違法」を認めるが、
遡及適用によって遡及適法となった
2002年12月 控訴
2003年2月 費用弁償条例が再々改正され、日額10,000円に減額
適用は2003年4月から
2003年7月 控訴棄却
2003年8月 上告・上告受理申立
2005年10月 上告・上告受理申立棄却 確定
名古屋市民オンブズマンが問題提起した費用弁償については、
2003年4月の統一地方選挙直前に日額1万円に減額が決まったり、
費用弁償受け取り拒否の名古屋市議会議員が出てきたりしました。
(供託1名、受け取り拒否2名)
しかし、費用弁償の当初の問題点である、公費の二重・三重取りは
未だ解決していません。
今後どのように追及していくのか、オンブズマンで考えていきたいと思います。
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