12/3/15に愛知県弁護士会で、「第1回 秘密保全法に関する連続学習会」が
開催され、参加した70名が熱心に聞き入りました。
愛知県弁護士会情報問題対策特別委員会委員長の新海聡弁護士による
秘密保全法の説明の後、質疑応答、各団体アピールを行いました。
↑秘密保全法の説明をする、新海聡弁護士
・当日発表パワーポイントデータ
http://www.ombudsman.jp/data/PPT120315.ppt
・上記PDF版
http://www.ombudsman.jp/data/PPT120315.pdf
新海弁護士は、1985年に廃案となったスパイ防止法と秘密保全法の違いを
まず説明した後、「特別秘密」の対象の定め方は時の政権の意向次第であり、
また処罰される行為自体もあいまいで、これでは情報公開制度が絶滅し、
調査報道が窒息すると述べました。
また、「人的管理」と呼ばれる、政権がプライバシー調査の根拠を与える項目もあり、
これは政府の担当者だけでなく、ほとんどの国民が対象となってしまうおそれを
指摘しました。
秘密保全法が制定されたら、政府の都合のよい情報だけが流通し、
秘密を漏らす市民を政府が監視する社会になってしまうと述べ、
まず原則情報公開にするという情報公開法の改正こそ重要だとしました。
質疑応答では、原発事故の情報公開について多く出ました。
「原子力災害特別措置法では、SPEEDI情報は開示しないといけないとなっている。
原発テロの際は、国民保護法に基づきSPEEDI情報を開示しないといけないと
なっているが、秘密保全法ができると隠されてしまうのか」という質問に対し、
新海弁護士は「SPEEDIはたとえ話。SPEEDIを公開すると国民がパニックになると
政権が判断したら、特別秘密に指定したとしても非論理的ではない。
現在、原則公開になっているにもかかわらず、原発の情報の多くは隠されてきた。
秘密保全法ができたら、情報公開法が完全に骨抜きになってしまう」と述べました。
また、「1985年のスパイ防止法廃案後、情報公開法ができたのになぜ逆行するのか」
という質問に対し、新海弁護士は、「警察庁が、今提案されている情報公開法改正
(「おそれがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由がある情報」を
「おそれがある情報」に)に猛烈に反対している。
アメリカからも防衛情報を守れと圧力がある」と述べました。
さらに、「住基ネット反対してきた。マイナンバーも反対しているが、秘密保全法との
リンク状況は」という質問に対しては、新海弁護士は「マイナンバーは巨大な情報のプール。
今は少ししか情報をいれないと政権は説明しているが、今後の政権がやろうと思えば、
膨大なデジタル情報を入れることができる。マイナンバーに入っている情報と、
秘密保全法の人的管理をリンクしようと思えばできるので、はじめからマイナンバーも
秘密保全法も作らせないようにさせたい」と述べました。
また、「自衛隊の情報保全隊が、イラク戦争に反対していた市民の身元を調査し、
しかも現在仙台で裁判になっているが、国側は「自衛隊が国民の身元調査をしても、
国民に実害はないだろうと裁判で主張している。これらはどうすればよいのか」という
質問に対し、新海弁護士は「警察や自衛隊をどう民主化するかということだろう。
まず情報の公開を求めることが必要だ。それが本当の民主主義の世の中を作ることに
つながる」と述べました。
続いて各団体のアピールに移り、「秘密保全法に反対する愛知の会」の中谷雄二弁護士は、
「秘密保全法ができた際の想像力は歴史に学ぶべきだ。戦前の軍機保護法の運用では、
広く知られたものでも実刑になっている。隣の韓国は戦後も軍事国家で、
数多くの市民がスパイだとされて拷問され懲役刑も課せられている。
そのような社会を許さないと声を上げることが重要だ」と述べました。
次回学習会は、平成24年4月18日(水) 午後6時~8時 愛知県弁護士会館
5階「ホール」で行います。どなたでも参加できます。
http://www.aiben.jp/page/frombars/topics2/596himitsu.html
なお、今後の愛知県弁護士会情報問題対策委員会の行動予定は以下です。
☆ 5月2日(水) 12:00~ 名古屋・栄 バスターミナル前(噴水南)で街頭宣伝行動。
☆ 6月9日(土)午後 佐高 信氏を招いてシンポジウムを開催(愛知大学車道校舎)
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2012/3/15 19:29 中京テレビ
「秘密保全法」めぐり弁護士らが学習会(愛知県) (動画あり)
http://news24.jp/nnn/news8627270.html
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