2009年度に愛知県議に支給された政務調査費のうち「事務所家賃」
「車リース料」に支出された約8313万円の返還を求めて
名古屋市民オンブズマンが起こした住民監査請求で、愛知県監査委員は
11/4/14づけで全面的に棄却しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/seimu/110414.pdf
争点は「事務所家賃」「車リース料」の支出は政務調査費条例・
規程に反しているとした点です。
監査委員は監査結果の中で以下のように述べています。
・条例及び規定の制定の経緯
議会事務局によれば、各会派では、制度発足当初から、
自動車リース料や事務所賃借料も事務費に該当するという運用が
なされてきた。
・「事務費」について
議員の調査研究に資するために必要な範囲内で、使途項目に
具体的な内容として何を盛り込むかを議長に委任しているのであり、
条例に違反しているとはいえない。
文言上は「等」に含まれ、本件規程に違反しているとはいえない。
・マニュアルについて
本件規程に定める使途基準の一層の明確化を図ること等を
目的に制定されたものであり、使途基準の内容を補完するものと
いえる。またマニュアルで自動車リース料及び事務所賃借料を
含めることは本件規程に矛盾抵触するものではない。
また、マニュアルは、規程と同様に議会各会派の意見を
集約した上で、議長によって制定されたものであり、条例
8条2項の規定に基づくものということができる。
・裁判例
松江地裁平成20年11月10日判決も同旨と考えられる。
自動車リース料について
「議員が都市部だけでなく、中山間地域においても
政務調査活動を行うことが必要である以上は、その
政務調査活動に従事するに当たって、公共交通機関の
他に自動車を利用することは容易に想定できるところで
あるから、これに要する費用を調査研究費あるいは
事務費として政務調査費から支出すること自体は、
使途基準に反するものではないと解され」る。
事務所費について
「議員が政務調査活動を行うために資料の保管場所や
活動拠点等として自宅とは別に事務所が必要となることは
容易に推測できるから、自宅とは別に事務所を構え、
議員が事務所賃料を支出した場合において、
この賃料を議員が行う調査研究活動のために必要な
事務所の設置、管理にかかる経費として政務調査費から
支出すること自体は、何ら使途基準に反するものではない」
名古屋市民オンブズマン代表の滝田誠一弁護士は、
「当方が提起した論点にいずれも答えていない。
11年5月以降「自動車リース料」「事務所費」支出を
OKにした規程改正についても触れていない。
しかも、条例・規程が愛知県とほとんど同じ名古屋市議の
事務所費支出を認めなかった2011/3/23名古屋判決を無視している。
http://nagoya.ombudsman.jp/seimu/110323.pdf
名古屋地裁判決違反はとうてい許されない。
裁判所に住民訴訟を提訴し、決着をつけたい」と述べました。
(参考:松江地裁平成20年11月10日判決
http://www.ombudsman.jp/data/081110.pdf
自動車リース料については、「島根県においては、公共交通機関の
整備が十分ではない現状において」という前段があり、
愛知県とは状況が異なる。
また、規程で「事務費」と「事務所費」が明確に記載されており、
愛知県の規程(「事務費」のみ)とはまったく異なる。)
請求人の、内田隆・名古屋市民オンブズマン事務局次長は、
「法的なことはともかく、調査研究にしか使えないはずの
政務調査費の使途として、他に流用可能な「自動車リース料」
「事務所費」が認められるとは到底思えない。
少なくとも何に使ったのか使途を市民に公開すべきだ。
議会のお手盛りのマニュアル作成にお墨付きをつけた
監査委員のあり方自体問われる。
さらに、お手盛りで5月から規程を変更したが、
隣の名古屋市議会での議会改革に比べると、歩みが遅い
どころか逆行しているように見える。
選挙で選ばれた新議員によって、再度規程を見直すべきである。」
と述べました。
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↑監査結果を受け取る、代表の滝田誠一弁護士(中央) 右は監査事務局
↑記者からの質問に答える、滝田誠一弁護士(左)と内田隆
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毎日新聞 2011年4月15日
県議政調費:監査請求棄却 オンブズ、住民訴訟へ /愛知
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20110415ddlk23010244000c.html
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