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2005年 06月 30日
自民党名古屋市議団の政務調査費(1人当たり月55万円、領収書公開無し)について、疑惑がますます高まっている。
きっかけは、自民党名古屋市議団の前団長の西村けんじ氏が、政務調査費の使途としてカラ領収書を提出しようとしたことが発覚したことから始まった(2005.4.30 朝日新聞)。西村氏が団長だった平成16年度の政務調査費のうち、「共通経費」として議員1人あたり月5万円ずつ団費に積み立てていた分について、使途不明金は420万にのぼった(2005.5.8 読売新聞)。西村氏はカラ領収書に関して謝罪し、自民党を退団した。 6月15日に監査委員に対して住民監査請求を行った。 以下住民監査請求書 -- 住民監査請求書 2005年6月15日 名古屋市監査委員 御中 請求人 別紙請求人目録記載の通り 代表連絡先 請求人内田隆 代理人 名古屋市中区丸の内3丁目6番4号弁護士法人リブレ 電話番号052-953-7885 FAX052-953-7884 弁護士 新海聡 外8名 第1 請求の要旨 1 政務調査費の支給についての条例の規定 (1)名古屋市においては、政務調査費の交付に関する条例(以下「本件条例」と言う。)3条1項により、名古屋市会の各会派に対し、月額550,000円に当該会派の所属議員の数を乗じた額を会派に交付する、と規定している。 (2)本件条例4条は政務調査費を「議長が定める使途基準に従って使用する」規定しつつ「市政に関する調査研究に資するために必要な経費以外のものに充ててはならない。」として議長の裁量を限定している。 これを受け、名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程2条では、使途を別表に記載したものに限定している。別表の内容は以下の通りである(( )内は例示)。 ①調査費 本市の事務及び地方行財政に関する調査研究活動並びに調査委託に要する経費 (調査委託費、交通費、宿泊費等) ②研修費 調査研究活動のために行う研修会・講演会の実施に必要な経費並びに他団体が開催する研修会・講演会等への所属議員及び会派の雇用する職員の参加に要する経費 (会場費・機材借り上げ費、講師謝金、会費、交通費、宿泊費等) ③会議費 調査研究活動のために行う各種会議に要する経費 (会場費・機材借り上げ費、資料印刷費等) ④資料作成費 調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費 (印刷・製本代、原稿料等) ⑤資料購入費 調査研究活動のために必要な図書・資料等の購入に要する経費 (書籍購入代、新聞雑誌購読料等) ⑥広報費 調査研究活動、議会活動及び市政に関する政策等の広報活動に要する経費 (広報紙・報告書等印刷費、会場費、送料、交通費等) ⑦事務費 調査研究活動に係る事務遂行に必要な経費 (事務用品・備品購入費、通信費等) ⑧人件費 調査研究活動を補助する職員(臨時職員を含む。)を雇用する経費 (給料、手当、社会保険料、賃金等) (3)政務調査費の収支報告ならびに返還請求 会派の代表者は毎年4月30日までに収支報告書を議長に提出する(本件条例5条1項、2項)。一方、政務調査費の支出権限者である市長は「政務調査費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から、当該会派がその年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合、当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。」と規定されている(7条)。 ところで、返還を命じる場合として、「その年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合」と規定されていることからみて、支給した政務調査費に年度末の段階で残余がある場合のみならず、市政に関する調査研究に資する必要な経費以外に支出された場合についても返還を命じることになる。 (4)返還を命ずることが「できる」の意味について ところで条例7条は、市長が政務調査費条例の返還を各会派に命じることが「できる」と規定し、返還請求は市長裁量であるかのごとき表現をしている。 しかし、この規定は返還請求について市長をき束するものであって、請求についての裁量を市長に認めたものではない。 そもそも、政務調査費の支給は地方自治法100条13項に基づくところ、同条項は使途を「議員の調査研究に資するための必要な経費の一部と」するため、と定めているから、「議員の調査研究に必要な経費」以外に使われた場合には、当該政務調査費の支出は地方自治法100条13項に反する結果となる。 一方、地方自治法は、138条の2で普通公共団体の執行機関に対してその事務を誠実に管理・執行すべき義務を課し、また、同法2条14項は事務処理にあたって最小の経費で最大の効果を上げるべきことを求めている。さらに地方財政法4条1項は、地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえてこれを支出してはならない、と定めている。したがって、支給した政務調査費に年度末の段階で残余があった場合や、市政に関する調査研究に資する必要な経費以外に支出された場合(法にいう「議員の調査研究に必要な経費」以外に使われた場合)については、かかる支出に対応する部分の利得を当該会派に維持させることに法的合理性はないから、執行機関である市長はそれらの政務調査費の返還を命じなければならないはずである。 ところが、条例に返還を命じることが「できる」と記載されていることを理由として市長が当該会派に返還を命じないとすれば、かかる市長の行為は地方自治法や地方財政法に反する結果となり、その行為自体、市に損害を与える行為に該当してしまうことになる。 よって、本件条例を法に適合するよう解釈する以上、会派に不当利得が発生する場合には市長が返還を命じることを条例の上記規定は市長に命じている、と見るほかない。 2,自民党名古屋市議団の政務調査費の使途 (1)自民党名古屋市議団(「自由民主党名古屋市会議員団」、「自由民主党市民クラブ名古屋市会議員団」 以下自民党名古屋市議団とする)では、月額一人あたり55万円支給される政務調査費について、5万円を市議団の共通経費(団費)とし、残りを議員の政務調査活動に使うものとしてきた、との説明をし、これに適合する内容の収支報告書を提出している、としている。 (2)ところが、自民党の前団長の西村健二氏は、本年5月、共通経費のうち、2003年度は410万円が余り、2004年度は150万円が余り、それぞれ団長が「預かり金」として保管していた、と発表した。 同人によるとこの金員はいずれも市に返還されることなく、自民党名古屋市議会の団長が預かり金としてプールしていること、かかる扱いは恒例化し、毎回市議選時にプール金は分配された、という。 (3)上記西村氏の発表から、自民党名古屋市議団において直近二年間で560万円の政務調査費をプールしていたこと、自民党名古屋市議団の2003年度、2004年度の収支報告書は事実に反すること、少なくとも共通経費分に関する支出相当額は収支報告とは別の使途に支出されたことも明らかになった。 3,返還請求権 (1)以上の事実から、共通経費についての収支報告が事実に反することは明らかであるので、すくなくとも共通経費分については条例に要求された適切な収支報告がなされたことにはならず、2003年度、2004年度に支給された共通経費相当額については、「その年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した」ことの説明がなされていないまま、本日に至っていることになる。また、新聞報道によると、自民党名古屋市議団は西村氏の説明を否定していることから、共通経費相当額についての真実に適合した使途の説明をしようとする意思すらないことが窺われる。 よって、現状においては、自民党名古屋市議団は共通経費相当分に対して適切な収支報告をしないまま、これに相当する金額を利得として保有しようとしていることになるが、各会派が政務調査費について支給された利得を最終的に保有できることになるのは、条例5条による適切な収支報告がなされ、これに基づいて市長が条例7条による返還請求権を行使しないことが確定した段階である。 したがって、適切な収支報告をしない自民党名古屋市議団は共通経費相当分の不当な利得を保有したままであることは明らかであるから、市長は条例7条および不当利得返還請求権に基づいて共通経費相当額の返還を求める義務がある。 (2)仮に共通経費全額について返還請求権を行使する義務が市長にはない、としても、2003年度の政務調査費の支出残金410万円、2004年度の政務調査費の支出残金150万円はそれぞれ団長の預かり金としてプールされていたことになるが、そもそも政務調査費をプールすることは本件条例および地方自治法で認められていない。よって、すくなくとも両年度の支出残金合計560万円について、市長は条例7条および不当利得返還請求権に基づいて自民党名古屋市議団に返還請求する義務がある。 第2 求める措置 以上の通り、名古屋市が自民党名古屋市議団に交付した2003年度および2004年度の政務調査費中、同市議団が共通経費分として月額一人あたり5万円の割合で支出したとされる合計金2870万円(内訳:2003年度分1475万円、2004年度分1395万円)については、収支報告書と異なった目的に支出されたにもかかわらず、事実に適合した適法な収支報告がなされていない。かかるものについては、名古屋市長は条例7条および不当利得返還請求権に基づいて返還を求めるべきであるから、監査委員は市長に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。 記 名古屋市長は自民党名古屋市議団に対し、2003年度分および2004年度分として同会派に支給した政務調査費中、同会派の共通経費として処理された合計金2870万円について市にこれを返還させるための必要な措置をとること。 以上の通り、地方自治法242条1項に基づき、事実証明書を付して監査委員に対し、本請求をする次第である。 事実証明書 証拠1番 新聞記事綴り 証拠2番 平成15年度政務調査費収支報告書 (平成15年5月29日付) 証拠3番 平成15年度政務調査費収支報告書 (平成16年4月20日付) 証拠4番 平成16年度政務調査費収支報告書 (平成17年4月28日付) 添付書類 事実証明書の写し 各1通 委任状 1通
by ombuds
| 2005-06-30 18:06
| 政務活動費
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Comments(1)
Commented
by
sakaiobz at 2005-07-03 10:04
ごぶさたしてます。大阪・美原の石崎です。
今日、リンク張らせてもらいました。いままで、やり方が、わかりませんでした。 私も政務調査費訴訟してますが、また、情報交換させてくださいね・・・
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