全国市民オンブズマン連絡会議 元代表幹事で公認会計士・税理士の
赤塚和俊(あかつか かずとし)氏が、2009年1月16日に病気のため
死去されました。58歳でした。
葬儀は1/18に福岡市内で近親者のみで行われました。
赤塚先生は、1950年生まれ。1999年3月~2002年3月まで、
全国市民オンブズマン連絡会議の代表幹事を務められました。
赤塚先生が中心となって行ってきた「
包括外部監査の通信簿」は、
自治体の包括外部監査のレベルを大幅に上げました。
弁護士中心と見られがちな市民オンブズ活動にあって、常に「市民」が
主体の活動であると意識しつつ、さらに専門の公認会計士・
税理士の見識を活かして活動されてきた赤塚先生には
今後多くを教わりたいと思っていたところで、悲しみにたえません。
心からご冥福をお祈りします。
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なお、「2007年度包括外部監査の通信簿」(2008.8発行)のあとがきで、
赤塚先生がはじめて「班員である」と名前を出して書かれた文書を
掲載致します。
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2007年度包括外部監査の通信簿 あ と が き
1.過去の経験を踏まえつつ、同時に一年間の距離を置くことによって見えてきたこと、思うことなど、少し述べさせていただきたい。
特に井上代表も触れておられる全体会議における最終評価は、悩みがつきない。ここでの問題点は大きく三つある。
一、全体討議にかけられるのは色々な意味でボーダーラインに残ったレポ-トである。それ以前に篩をかける作業を行うのはむしろ少人数にならざるを得ず、そこに見落としはないのか。
二、行政の専門家でもなければ選ばれたわけでもない有志が、学生の論文の優・良・可をつけるような上に立つ者の意識に陥ってはいないだろうか。
三、そもそも外部監査の報告書のよしあしに相対評価はなじまないのではないか。
これらの疑問は当初からつきまとってきたのであるが、今はこう考えている。
一、最近でこそほとんど姿を消したが、制度スタート当初はそもそも制度の趣旨をわきまえない報告書が散見され、篩にかけざるを得なかったこと。また、中位と思われるものは極力全体討議に挙げるが、そのことがさらに全体討議の負担を増やしている。この点に関しては分野別や地域別の中間評価を分散かつ充実することで極力全体の負担を減らそうとしている。
二、制度スタート当初は、確かに素人集団の恐れを知らない愚行のそしりを免れないケースもあったことは、認めざるを得ない。しかし、ほとんどの中心メンバーが5年以上の経験を積んだ今では、「行政の専門家」ならぬ「外部監査報告書の読者の専門家」は育ってきたと自信を持って言える。それだけに、逆の意味での専門家の独りよがりに陥っていないか自戒が必要である。
三、そして、三の答えになるかどうかわからないが、この通信簿を続けることの意義は、あくまで読者が専門家に説明責任を要求することにあると思う。それ故に、常に監査対象部局全体の俯瞰図、問題点の位置付け、見取り図が重要であると言い続けている。当然、問題の指摘、責任の追及、解決策の提示が目的であるが、その前段がなければ意義は半減する。ここにこそ、「非専門家」の行う通信簿の意義があるし、さらに言えば(たとえば業界団体ではないという)その権威のなさと無報酬性がその支えとなっている。その視点における相対評価の意味はあるであろう。
ここ数年、実際に監査を行った監査人の方々から親しくお話をうかがう機会が増えたのはうれしい限りである。わかったことは、すべてではないにしても監査人の多くもまた、その無報酬性(低額報酬)と独立性(プライド)、監査の深度の両立に悩まれていること。
もう一点、特筆したいのは「監査は内部化(監査対象との自己同一化)」するとの危険性を指摘される方が少なからずいらっしゃったことである。中でも、「監査報告書を提出した後で(一市民に戻ってから)気が付くのですよ」と言われた一言を、現に監査に従事中もしくはこれから監査人に選任されようかという方々に肝に銘じていただきたい。
私たちの指摘は間違っていなかったということであり、またそれだけに、他の見方の通信簿も当然あってしかるべきであるし、そろそろ、学問の世界でも包括外部監査をテーマとした本格的学術研究が生まれてほしいと思っている。
旧班員 赤 塚 和 俊
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・全国市民オンブズマン連絡会議 包括外部監査の通信簿
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/
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毎日新聞 2009年1月19日 地方版
訃報:赤塚和俊さん 58歳 死去=公認会計士 /福岡
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20090119ddlk40060164000c.html
2009年1月18日 20時52分 中日新聞
【おくやみ】赤塚和俊氏死去 元全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009011801000540.html
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