京都府宮津市が、丹後地区土地開発公社に委託した用地取得をめぐり、
同土地は取得する必要が無く、その取得価格も著しく高額であるから、
委託契約が違法だとして損害賠償を求める住民訴訟の最高裁判決が
08/1/18にあり、最高裁判所第二小法廷は「裁量権を著しく逸脱、
乱用している委託だった場合、買い取り義務はない」との初判断を示しました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080118150829.pdf
本件は「京都府丹後リゾート公園」計画にまつわる事件です。
宮津市は1996年、丹後地区土地開発公社に委託して、丹後リゾート
計画地ではない地域の土地15筆を3858万9646円で購入させています。
丹後リゾート計画地内の地権者が代替地を要求したと、後に宮津市長が
説明しましたが、地主らが代替地を要求した事実はありませんでした。
しかも、公園計画地内の買収価格は1平方メートル当たり510円(養老財産区)
にもかかわらず、15筆の土地は2960円で購入されていました。
その後公社が取得したまま放置されてきた15筆の土地について、
2001年に宮津市は「公益的機能保全森林整備事業」として、「山林等を
公益的機能保全森林として取得し、国土保全をはかる」目的で購入するために
金4,214万8,000円を計上し、議会は承認しました。
市民が住民監査請求するも監査委員は2日で却下し、地裁・高裁は
「土地が必要かどうかや、不当に高額だったかどうかにかかわらず、
市は委託契約を履行として買い取るほかなかった」と判断していました。
最高裁は、原審は委託契約が私法上無効であるかどうかについて十分審理
していないとし、裁量権の逸脱がなかったかの審理を高裁に差し戻しました。
この判決は他自治体の土地先行取得をめぐる裁判に多大な影響を与えると
考えますし、土地開発公社の実務にも影響が出る、画期的なものです。
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・平成20年01月18日 最高裁判所第二小法廷
市の委託に基づいて土地開発公社が取得した土地の買取りのために
市が締結した売買契約につき,その締結を財務会計法規上の義務に
違反する違法なものと評価することはできず,同契約により市が新たに
損害を被る余地もないとした原審の判断に違法があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35609&hanreiKbn=01
・弁護士 奥村一彦 「丹後リゾート関連土地不正取得事件」
http://www.daiichi.gr.jp/problem/2002/okumura.html
・市民ウォッチャー京都
丹後リゾート関連土地取得疑惑 『ねっとわーく京都』2004年6月号掲載 福村馬一
http://www.geocities.jp/shiminwatcher/reports09.html
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08/1/18 京都新聞電子版
宮津市、土地買い取り義務なし 公社との委託で最高裁、審理差し戻し
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008011800205&genre=D1&area=K60
2008年01月21日 朝日新聞
宮津市土地取得訴訟
http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000000801210002
2008年1月18日 東奥日報
「用地買い取り義務なし」 最高裁が初判断
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20080118010004931.asp
2008年1月18日(金)20:10 時事通信
先行取得土地、買い取り義務なし=高裁に審理差し戻し-最高裁
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-18X516.html
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