17/5/12に開催された、第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録が、17/7/26になってようやく名古屋市民オンブズマンに公開されました。
・第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録(17/5/12)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512-3.pdf・第1回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会の議事録(17/5/10)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510-3.pdf---
・ 17/5/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)傍聴者配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512.pdf ・17/5/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第1回)傍聴者配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510.pdf------
議事録を読んでいて、極めて重要な資料と構成員が指摘している「S-008」という資料がどこを探しても見つかりませんでした。
17/7/27に名古屋城総合事務所に確認したところ、「名古屋城天守閣整備事業」と題して竹中工務店が作成したA3版12ページの資料の8ページ目とのこと。
傍聴者にもマスコミにも議員にも配布していないことを認めました。
議事録には、「傍聴者やマスコミに配布していない資料がある」とは記載されていません。
名古屋城総合事務所も、「最近は冒頭でいうようになった」と、説明していなかったことを認めました。
5/12に傍聴したマスコミが、「専門用語が多くて理解が出来なかった」と言っていましたが、構成員が見て「重大な問題がある」と指摘していた資料が配付されていなかったのです。
名古屋市民オンブズマンは、17/7/27に「17/5/12傍聴者に配布されなかった『名古屋城天守閣整備事業』」を情報公開請求しました。
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「重要な資料」である「名古屋城天守閣整備事業」はまだ開示されていませんが、5/12石垣部会の議事録を読めば、問題点がよく分かります。
【石垣カルテ 作成について】
・現計画では、石垣カルテ作成を2年で306面行う予定。べらぼうにタイト。5-6年は必要。
・危険度把握も必要。
☆文化庁
・ここに載っている項目を全部やっていただくということは、ぜひやっていただきたい。何年かかるかというのはこちらはあまり問題ではない。
【名古屋城天守台石垣調査について】
・何を目的に石垣の調査をするのですか。
・木造天守に差し替えるから、その必要性で既存の石垣をいじらなければならないという論点を出しては、ダメダメなんですよ。特別史跡ですから。
・全国の史跡の整備、工事の中で、本物の国の特別史跡としての価値が認められている石垣を毀損することを前提とした復元、整備。そういったものは全く認められていない。
・根本的に考えを改めない限り、天守木造にせよ、何にせよ、1mmも進まないというか、議論の入口にも辿り着いていない。
・もし名古屋市が、本物の天守を作るんだということであれば、前提としてこの内側の石垣を見る限りは、もう一回積み直すという、石垣の修復工事をなしに、木造の天守は絶対にできない。
・工事施工の中の31年、エレベーターの解体から行って、現天守閣がのっかったままの状態で。失われたかどうかわからない天守の内部の穴蔵の状況というものは、具体的に調査ができるとは、私には思えない。
・この場所には天守を木造で作るときの素屋根という巨大なものをここに造る。おそらく竹中工務店さんが、文化財的なことは全く考慮せずに設計されていますが、その素屋根には大規模な見学デッキを含む。だから、空堀の中には、とんでもない加重がのっかっていくという。
・竹中工務店が出されたS-008の、昭和の天守を造った時に内面石垣が全部直されている。ほぼ全面直されていますから、この石垣の修理痕がなければ、その前に調査をしてどう石垣を直すかということを検討したうえで、この石垣の内面を本来のものに直すということがないと、木造天守の建築に移れないということも、まさにこの資料を出したことによって、委員会で明らかになってしまったわけですから。もはやこの計画は、まったく成り立たないという状況です。そこは本当に真剣に考え直してもらわないと、何度会を重ねても時間切れになるばかりだと思います。
・これまで10年かかってきた馬出の解体、石垣の復元もこれからやって、城内の庭の発掘調査もやって、報告書も作って、これだけのトレンチ調査もやって、石垣の保全や天守台の復元の方向の発掘調査もやって、1人ですよね、担当。無謀極まりないです。何としてでも人を採らないと、この事業はできませんというような、腹のくくり方で総合事務所の方でやってもらわないと、絶対頓挫します。
☆文化庁
・発掘調査と石垣を調査するための調査というのは別。石垣に対しての調査でないと、発掘調査の現状変更の許可もおりません。
こんな重要なことを、報道機関(カメラは頭取りだけ)と数人の傍聴者の前で行い、議事録公開も2ヶ月半もかかって議会にも名古屋城検討会議の他部会にも示していないというのが名古屋市のやり方です。
少なくとも名古屋市民全員がこの議事録ならびに市民に非公開の「名古屋城天守閣整備事業」を読んでから、今後の名古屋城のあり方を考えるべきです。
「ハイテク木造」の文化的価値をどう見るかは人それぞれですが、石垣には「本物の国の特別史跡としての価値」が認められているのです。
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城天守閣木造化特設ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm------------