16/10/11に開催された名古屋市議会経済水道委員会において、名古屋城天守閣木造化補正予算が継続審査となりました。
・配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161011.pdf
・追加配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161011-1.pdf
・要旨(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161011-2.pdf
名古屋市は、2020年7月末までとした名古屋城天守閣木造化の期限を2022年7月までにしてよいとする法的根拠をまともに答えることができませんでした。
また、2年延期しても費用が同じ505億円とする根拠、ならびにさらに延ばせば100億円単位で安くできる可能性についても説明しませんでした。
にもかかわらず、市議会経済水道委員会では継続審議としました。大変理解に苦しみます。
さらに理解不能なのは、16/10/11中日新聞によれば、河村たかし名古屋市長は専決処分する方針を検討しているとのこと。
今回の件では専決処分は地方自治法179条のどれにも当てはまりません。弁護士と相談して対応を早急に考えます。
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地方自治法第百七十九条 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第二百五十二条の二十の二第四項の規定による第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでない。
○2 議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
○3 前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。
○4 前項の場合において、条例の制定若しくは改廃又は予算に関する処置について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、当該処置に関して必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。
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横浜法学第23巻第2号(2014年12月)
板垣勝彦 論説 専決処分の許容性について
-特に「議会において議決すべき事件を議決しないとき」要件に着目して
http://kamome.lib.ynu.ac.jp/dspace/bitstream/10131/8894/1/23-2-2.pdf
・本件専決処分の違法性について(争点1)
いずれにせよ、専決処分の対象の広さと重要性に鑑みれば、この要件への認定は、長の違法・不当な専決処分権限の濫用を防ぐ観点から、具体的事情の下で客観的根拠に基づきなされなければならない(行政実例昭和26年5月31日地自行発第143号)。
本件では、第1審・控訴審とも共通して、議会が補助金の支出を内容とする予算案を2度にわたり否決していたという局面で、長が議会の会期最終日になり突如として補正予算を提出したことは、審議未了のまま会期が終了することを見越して「議会において…議決しないとき」という状況を意図的に作出したかの如くである-それを裏付けるかのように、長は臨時会の招集を拒絶した-ことを認定して、同要件に該当することを否定した。予算の承認は議会の重要な権限であり、その議決が得られない以上、効力を発生させてはならないと思われる。
議会が事実上「否決」した予算を専決処分で執行しようとするのは、実質的に見ると、議会の権限を奪う脱法行為に他ならない。本件専決処分は違法とみるべきである。
・市長の損害賠償責任について(争点2)
専決処分を巡る紛争は長と議会が内部的に拗れていることが発端であり、追認によってほとんどの事案は解決されると思われる。
・専決処分が違法な場合の契約の私法上の効力について(争点3)
やはり専決処分における法令違反は重大であり、余程の事情が認められない限り、私法上も無効とすべきである。
☆専決処分は、いかにも劇場型政治家が飛びつきそうな手段であるが、法治国家のルールは、彼らの暴走を許さない。
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城木造化特設ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm