6月25日(土)の万博入場者数22:00最終 165,415人 。
6月17日に、「ごまかし」の「愛・地球博」を検証する集会に参加して来た。
これまでの愛知万博をめぐる中央3団体(WWFジャパン、NACS-J、日本野鳥の会)の環境保護の経緯の説明の後、実際に万博に参加した市民からの意見が発表された。
最後に、集会参加者一同から、以下の抗議文が決議された。ネット上に載っていないようだし、報道もされていないようなので掲載したい。
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2005年6月17日
万博協会豊田章一郎会長殿
6・17「ごまかし」の「愛・地球博」を検証する集会参加者一同
愛知万博の中止を求める会
「週間金曜日」東海地方読書の会
抗議文
今月7日付け朝日新聞は、愛知万博(愛・地球博)瀬戸会場で開催された一つの市民プロジェクトについて驚くべき事態が発生したことを報じております。すなわち、教育普及団体「マルチカルチュラル・プレイイング・フィールド」が企画した「地球村への10のステップ」において、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカの16カ国で昨年使われた17種の教科書を集め、歴史や経済、チリなどの分野で日本に関する記述を翻訳して紹介し、誤っている記述も含めて日本がどう教えられているかを知るところから国際理解が始まるとのねらいを持つ企画だったようです。かつて日本が侵略して数々の辛酸をなめさせられたシンガポール、中国、韓国、マレーシア、インドネシアの教科書には日本による侵略に関する記述があり、企画ではその部分も紙に書き出して壁に張り出す予定であったようです。
ところが、貴協会はこれに対して「侵略部分は外して欲しい」などの要請をしたとのことです。企画した団体は「反発して展示自体を取りやめるような話になってはかなわない」として侵略や占領部分の記述の展示を取りやめたばかりでなく、来場者に自由に手にとってもらう考えだった教科書の現物も中身が見えないように透明ケースに入れて飾ることにしたとのことです。
市民参加を大きな柱の1つとしてかかげる万博において、今回起きたことはまさに権力ずくの検閲行為そのものであり、法衣の下の鎧が剥き出しになった忌まわしい事件だと考えます。パートナーシップを謳いあげながら、主催者側から圧力がかかれば市民側は引き下がって泣き寝入りしなければならないというのでは、まさに欺瞞すなわち「ごまかし」です。パートナーシップではなくて、権力と御用団体の関係です。
朝日新聞の取材に対して、貴協会市民プロジェクト事務局担当者は「政治的なことは万博にそぐわないと注意した」と答えています。また、市民参加部門の小川功記プロデューサーは「万博には政治や宗教問題は扱わない理念がある」と談話しています。これらの発言は倒錯しています。外国の教科書に日本がどのように記述されているかをありのままに紹介することが政治的なのではなく、ありのままに紹介することをやめさせようとすることこそが極めて政治的な行為なのです。侵略は事実であり、その傷跡を今もってかかえている国々と日本および日本人はどうやって隣人としてのお付き合いをしていけばよいのかを考えることは至極当たり前のことです。これを政治的というのなら、人としての営みのすべてが政治的だということになります。然るに、貴協会によるこの企画に対する圧力は、事実にふたをして市民、来場者の目から隠そうとした、まさに政治的行為そのものです。
万博やオリンピックがファシズム政治に利用され、ベルリンオリンピックが開催され、幻の東京万博(および同時開催オリンピック)が予定されていた、あの忌まわしい時代に横行していた権力による圧力や検閲と同質の事件が、21世紀を迎えた今日、「市民」参加万博で発生したという事態を重く受け止める必要があります。
私たちは、今回の事件を引き起こした万博協会に断固抗議するとともに、その旧態依然たる権力体質に深い危惧を抱きます。また、万博開催期間中に、取り下げられた展示を復活させて同じ企画をやり直すことを要求します。
なお、私たちの抗議と憂慮の表明は、朝日新聞の記事に全面的に依拠しています。もし事実関係に誤りがあったりした場合は、当方まで文書で釈明するとともに、朝日新聞社に対して訂正を求めてください。記事掲載依頼今日まで、そのような報道がないことから私たちは記事をほぼ事実に即したものであると判断しております。
以上
(連絡先:名古屋市中区金山5-2-30 金山レックスマンション604 東海民衆センター気付
「ごまかし」の「愛・地球博」を検証する集会実行委員会」
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